「生まれ変わったらまた私の子どもに」熊本地震で息子を亡くした両親が中学生に伝えたことは
中学校の教室の外で育てられている稲。この稲が縁で、命や家族の大切さを学ぶ講演が実現しました。
中学生が、苗から丁寧に育ててきた稲。譲ってもらった相手は、阿蘇市の大和卓也さんです。この苗は、熊本地震で大和さんの息子が亡くなった2016年に育った稲穂からつないできたもの。最愛の息子への思いが込められています。
大学生だった大和さんの二男の晃さん(当時22)は、8年前の熊本地震で土砂崩れに巻き込まれました。
両親は、行政による捜索が打ち切られても4か月の間、独自に息子を探し続け、晃さんの車の部品を見つけました。その後、捜索を再開した熊本県などが、車の中から晃さんの遺体を発見しました。
その経験を伝えに18日、両親が、菊陽中学校を訪れました。地震当時は、4歳から5歳だった子どもたちに語りかけます。
■晃さんの母 大和忍さん
「守ってあげられなくてごめんなさい。生まれ変わったら、私の子どもで生まれてきてほしいし、一緒にずっと離れることなく、一緒にいたいと伝えたいです」
■話を聞いた中学生
「僕は自分の母のおじを交通事故で亡くしました。どんな理由があっても家族を亡くすことは、とてもつらいです。でも、晃さんを見つけるために頑張った大和さんや、それに貢献したボランティアの方々はすごいと思いました」
心に刻まれた家族の尊さ。
■晃さんの父 大和卓也さん
「みなさんには家族と時間をもっと大切にしていただきたいと思います。学校での出来事、お友達の話、何でもいいので自分から話しかけてください。照れくさいかもしれませんが、私からのお願いです」
晃さんがつないだ縁。子どもたちの手によって、稲は大切に育てられていきます。