×

熊本市庁舎「建て替え」費用470億円の見通し 各候補地のメリット・デメリットは

2024年2月13日 18:35
熊本市庁舎「建て替え」費用470億円の見通し 各候補地のメリット・デメリットは

「建て替え」を前提に議論が進む熊本市庁舎。熊本市は13日の市議会特別委員会で、現庁舎の解体や新庁舎の建設などに約470億円かかるという見通しを示しました。

熊本地震の後に耐震不足が指摘された熊本市庁舎。熊本市は有識者会議での議論を経て、去年6月、「建て替え」を前提に進める方針を決めました。

13日の市議会特別委員会で熊本市は、現時点で新庁舎の面積は、中央区役所、議会の機能を含め、今の庁舎より3割ほど大きい6万平方メートル規模という想定を示しました。熊本地震の経験をいかし、災害対応のためのスペースや市民が交流できる多目的スペースを確保するとしています。また、新庁舎の設計・建設費、それに今の庁舎の解体費は、あわせて470億円に上るとしました。

さらに、民間事業者を対象にした移転先などに関する調査結果を受け、熊本市の考え方が示されました。

民間企業から提案があったのは、今の庁舎がある手取本町やNTT桜町ビルがある桜町・花畑地区など「城下まちなかエリア」のほか、「白川公園」です。それぞれの案について説明を受けた委員からは。
■上野美恵子委員
「今は建築物価も上がっているし、規模を大きくしていけば費用は増えていくと思う。コンパクト化は検討されなかったのかをお尋ねします」
■高本一臣委員
「そもそも、この庁舎の建て替えの 大きな理由の一つは、水害の時に浸かるからということだったと思います。ところがこの候補地の全てが、浸水エリアに入っている。防災関係よりも、中心地のにぎわいの方を優先しなければならなかったのか?」

熊本市は、次の議会で規模や費用、候補地など執行部の考えを示す方針です。

各建て替え候補地のメリット・デメリットは

建て替えの候補地について熊本市は、民間事業者への調査を踏まえ、公共交通や他の公的機関との位置関係を考え利便性の高い場所、計画延床面積が市役所と議会棟と中央区役所を合わせて6万平方メートル以上あることを条件としてあげています。

その上で、城下町まちなかエリアについては大きく分けて3つの案があがりました。
①今の市庁舎がある手取本町メインで建て替える案。
この案は庁舎がある市の土地で建て替えを行うもののほか、駐車場やビルなど民間の敷地を巻き込むといった提案も上がっています。建設可能な延床面積は、最大で8万3000平方メートルと3つの案の中でも最も広くなっています。

メリットは、市有地の中で建て替えるなら地権者との調整が原則不要、市役所のシンボル性があり交通アクセスが良いいこと、民間と連携したにぎわいの創出ができることなどがあげられます。

一方で、工事中は仮設庁舎が必要で、民間のビルなどを借りる必要があり、仮に民間の敷地が入るとスケジュールがつかみにくくなるなどのデメリットが考えられます。

②日本郵便九州支社のビルがある城東町の民間の土地に移転する案。
建設可能な延床面積は最大で7万4600平方メートルとなっています。
交通アクセスが良いこと、仮設庁舎が必要ないなどのメリットがあり、今の市庁舎跡地にはハイグレードホテルなどの整備が提案されています。
土地の所有者には既に提案について伝えていますが、今建っているビルの機能を移転し、解体しなければいけないため移転に時間がかかることが考えられます。

③桜町のNTT桜町ビルに移転する案。
このビルに加え、花畑町の中央区役所別館跡地も合わせて活用する案もあがっています。
建設可能な延床面積は最大で7万9800平方メートル。
メリットは、市電の電停やバスターミナルが近いこと、にぎわいの創出、災害時には花畑広場などと一体となった運用ができることなどがあげられます。
2つめの案と同じく、仮設庁舎は必要ありません。
一方、建物の所有者が複数にわたるため交渉次第で着手できる時期に影響が出る可能性があります。

そして、民間の土地への移転が決まれば、現在の庁舎跡地をどうするかも検討しなければなりません。
民間事業者への調査では、「熊本城の目の前という景観を半永久的に確保できる希少性の高い土地」として、ハイグレードホテルの誘致も可能性があるという意見が多数寄せられました。
一方で、グレードの高いホテルを誘致するには、熊本城からの眺望に配慮して設けられている高さ基準の緩和を求める意見も相次いだということです。

また、熊本市がおおよそで見積もっている必要経費の470億円には、用地の買収や仮設庁舎の費用は含まれていません。今後、全体の費用や整備にかかる時間、移転した場合の跡地の活用方法なども検討して候補地が決まります。