「県政に疑念持たれる事態に」旅行支援事業めぐる第三者委の報告書受け蒲島知事が陳謝
熊本県の旅行支援事業をめぐり関係者からの外部通報を受けて設置された県の第三者調査委員会は11日、旅行支援事業の県の運営に問題があったなどとして、「不適切受給や不正の見逃し指示はなかった」とする報告書を蒲島知事に提出しました。蒲島知事は12日、臨時の記者会見を開き、県政に疑念を持たれる事態に至ったとして、陳謝しました。
第三者調査委員会は、関係者からの外部通報を受けて、テレビ熊本の関連会社「TKUヒューマン」が販売した タクシー券を使った旅行商品で、補助金の不適切な受給の疑いがなかったかや、県の幹部が担当課に疑いを見逃すよう指示していないかなどについて、調査報告書をまとめ11日、蒲島知事に提出しました。
報告書では、旅行業法に抵触するなどの不適切受給や県幹部による見逃し指示、県民の損害はいずれも認められなかったと結論付けました。
一方で、県幹部の「一部の発言」について、事実に基づかない発言である上、企業に忖度して事実を調整するように指示されていると受け取られかねない内容だとし、誤解が生じないように明確な発言を行うべきだったとしました。
12日に臨時の記者会見を開いた蒲島知事は。
■蒲島郁夫知事
「今回、県政に対する疑念を持たれるような事態に至ったことについて、知事として県民の皆様にお詫びいたします」
蒲島知事は、報告書の中で、正確性を欠く報告書の作成や報告、伝達など県の対応に問題があったとされた点などについて、陳謝しました。
また、県幹部の発言が「見逃し指示」と受け取られかねないと指摘されたことについては。
■蒲島郁夫知事
Q誤解をまねくような発言はすべきではなかったと知事もお考えですか?
「はい。提言にも書いていますが、早く対応しなければならない。そういうことがあったとすれば、そうならない形で県政をやっていかないといけない。できるだけ早く、改善案をまとめて実現していく必要がある」
職員の処分については、まず先に改善案をまとめる必要があるとして、明言を避けました。また、TKUヒューマンを含め、旅行事業者14社の補助対象外商品として弁済された約4500万円については、それぞれの社と協議し、返還も含め検討するとしました。
蒲島知事は今後、助成制度を設計する際は、助成要件の決定や周知を確実に行うとともに、重要な意思決定の過程については書面に残し、後日検証できる体制を整えるよう12日付けで職員に周知したということです。
今回の報告書を受けてTKUヒューマンは、「調査委員会の調査によって、TKUヒューマンが旅行業法に抵触するなどの不適切受給がなかったことが証明されたと認識しております」とコメントしています。
一方、去年3月、県が不適切受給だと公表し、旅行事業者13社分の約3000万円を返納した事務局のJTBは、「報告書の内容は確認しているが、社内で内容を整理する必要があるため、現時点でのコメントは差し控える。返納した金額への対応はこれから検討する」としています。
また、13社とは別に約1500万円を県に返納した阪急交通社は、「県の方針が決まっていないので コメントできる状況ではない。現時点では、返納した金額を県に求めるかどうか考えていない」としています。