全国知事会「103万円の壁」議論 “地方税収の減少”を懸念
25日から自民党の税制調査会で「103万円の壁」などの議論がスタートしました。一方、全国知事会では「103万円の壁」について、地方から税収が減ると懸念の声が相次ぎました。
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25日午後、一堂に会した47都道府県の代表。中には返り咲きを果たした兵庫県の斎藤知事の姿もありました。
兵庫県 斎藤元彦知事
「高校生や大学生が選挙、政治に対する関心をすごく持っていただいている。若い世代を応援する政策をぜひやっていくべきと思っている」
都内で開かれた全国知事会で議論が活発になったのは、「103万円の壁」の引き上げについてです。
宮崎県 河野俊嗣知事
「年収103万円の壁。地方財政に甚大な影響が生じる可能性がある」
青森県 宮下宗一郎知事
「地方への負担はかけないようにするということを私たちとして要望し実現すべき」
鳥取県 平井伸治知事
「財源について国がちゃんと考えろということを我々は言いたい」
一般に「103万円の壁」を超えると所得税が発生し、学生であれば勤労学生控除の場合を除き親の扶養から外れ、親の税負担が増えてしまいます。この壁が引き上げられればもっと働きたい、という人にとっては手取りアップにつながります。
しかし、自治体にとっては大きな痛手。国民民主党が主張する「178万円」までの引き上げが実現した場合、7兆6000億円ほどの税収が減ると政府は試算。このうちおよそ4兆円は地方の税収だというのです。
全国の知事たちは手取りが増えることについては賛成としながらも地方財政に与える影響の大きさを指摘しました。
鳥取県 平井伸治知事
「もしこれがなされた場合(県の)子育て予算の半分がすっとんでしまう。それほど大きな一般財源へのインパクトがある」
山梨県 長崎幸太郎知事
「103万円の壁の減収の補てんはマストだと、恒久的措置だとすれば補てんも恒久的措置でやるべき」
高知県 浜田省司知事
「借金で埋める形にならない安心感が持てる対策を取るのが大前提」
政府に対して丁寧に議論を進めるよう求めるとしています。
こうしたなか、自民党は25日、来年度の税制改正に向け本格的な議論をスタート。知事たちの懸念もあるなか、どのように調整が進められるでしょうか。