「捜査難航の理由は」熊本市南区の元町議殺害事件から3年 未だ有力な手がかりなし
熊本市南区城南町で元町議の男性が殺害された事件から、24日で3年を迎えました。未だ犯人逮捕に至らないその理由に迫ります。
5月19日、嘉島町の商業施設では警察官がティッシュを配っていました。そこには事件の情報提供を呼びかける言葉が書かれていました。
2021年5月24日。熊本市南区城南町の住宅で元町議会議員の中村尊徳さん(当時74)が窒息死しているのが発見されました。玄関近くの寝室で手足をひもで縛られ、口と鼻を粘着テープで塞がれていた中村さん。現場には複数の靴跡が残され、玄関には鍵が刺さったまま。敷地内の建物からは書類の入った金庫が盗まれていました。
警察は殺人事件と断定し、捜査本部を設置しました。
■松本茜記者(2022年5月24日)
「事件発生から1年。犯人につながる証拠がないなか、現場近くでは車両検問が行われています」
警察は複数犯による強盗殺人の可能性も視野に、述べ3万1000人を投入して捜査を続けました。しかし…。
■花木瞳記者(2024年5月23日)
「事件が発生してから丸3年を迎えますが、未だ有力な手がかりは見つかっておらず、犯人逮捕にはいたっていません」
手がかりのひとつとされたのが、現場から約5キロ離れた宇土市で見つかった中村さんの軽トラックです。逃走に使われたのでしょうか。警察は押収した指紋や毛髪など数百点を解析したほか、自宅や軽トラックの発見現場周辺の防犯カメラの映像を捜査。
情報提供の呼びかけも行い、これまで30件の情報が寄せられましたが、犯人特定につながる有力なものはなかったといいます。
犯人が捕まらないまま3年。近くに住む人たちは今も不安を抱えています。
■近くに住む人
「やっぱ怖いですね」
「恐怖感を感じながら過ごしています」
「もう3年もなるし、1日も早く捕まってほしいというのがそれはありますけどね」
中村さんの遺族は、代理人弁護士を通じて「犯人が逮捕されるのを待っているだけです」とコメントしています。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
ここからは取材した記者が一つのテーマを深掘りする「記者のコトバ」です。
取材にあたっている緒方大樹記者です。3年経っても解決の糸口が見えないのはどうしてなのでしょうか?
(緒方大樹記者)
県警によりますと、2000年以降に県内で起きた殺人事件は327件ありますが、犯人逮捕に3年以上かかったのは今回の事件以外には2件だけです。捜査が難航している背景がこちらです。
犯行時刻は午前0時から午前6時の間とみられ、同居していた家族も犯行に気づいておらず、有力な目撃情報がありません。次に、現場は農家が点在する地域で周辺に防犯カメラが少なく、犯行前後の犯人の足取りがわかっていません。
さらに、現場に残された靴の跡や、1人で運ぶことが難しい金庫がなくなっていることなどから、警察は複数犯とみています。しかし捜査関係者は、金庫が今も見つかっておらず、現場や軽トラックの周辺から犯人の特定につながる証拠も得られていないため、解決のめどが立たないと話しています。
(緒方太郎キャスター)
全国的に強盗や空き巣などの犯行グループの逮捕は目にしますが、そうした事件と比べても証拠が少ないんですね。
(緒方大樹記者)
県警は、同様の事件で逮捕された容疑者が城南町の事件に関わった可能性についても警戒してきましたが、これまでに関連性は確認できていません。
県警は現在も情報提供を呼びかけています。
【情報提供の連絡先】
熊本南警察署 電話096-326-0110