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【解説】「マイク切られた」男性に環境相が謝罪 国の水俣病担当は"後ろ向き"?

2024年5月8日 21:01
【解説】「マイク切られた」男性に環境相が謝罪 国の水俣病担当は"後ろ向き"?
被害者・支援者の仏壇を前にした伊藤環境相
(8日・水俣市から中継)
■緒方太郎キャスター
水俣病センター「相思社」に8日午後6時15分頃、環境相が到着しました。
奥には水俣病の当事者や支援者の位牌があり、その仏壇に環境相が手を合わせたということです。
環境相と面会した人に話を聞きましたが、
「環境相が懇談の日から一週間後に来たことには感謝の気持ちはあるけれど、何十年も苦しんだという思いを3分にまとめるというのは無理がある。今後懇談の場の在り方を環境省全体で考えてほしい」という意見が印象的でした。

■伊藤信太郎 環境相(水俣病患者連合副会長・松﨑重光さんに)
当日私は松﨑さんのお話を全部聞かせていただきました。メモを取らせてもらいました。
なぜこのようなことが起きたかということですが、
あの時環境省の室長が「不手際」という言葉を。
私はその時「不手際」という意味がわからなかった。
私が聞こえていたこともあるし、
まさか環境省の職員が発言の途中でマイクを絞るとは思わなかったものですからあのような発言をしていたのですけど。
なぜ起きたかというと具体的には室長と実際にマイクのボリュームを管理している方がコミュニケーションというか連絡がなかったのではないかと思います。
ですからその人だけ悪者にするわけにいかないんですけど、その方が絞ったのではないかなと思いますが、そこも含めて環境大臣の責任だと思いますので、申し訳ありませんでした。


■畑中香保里キャスター
水俣病を30年以上取材している東島大デスクとお伝えします。
今回の件をどのように見ていますか?

■東島大デスク
水俣病に限らず人が喋っているところでいきなりマイクを絞るというのは失礼な話ですよね。
それがなぜああいう席で起きたのか。そこにつきますよね。

あの場を仕切っていたのが環境省の特殊疾病対策室。耳慣れない言葉だと思いますが、国の水俣病の窓口になる部署なんです。私は思い出したことが一つあります。

以前この部署の室長が移動になっていた時にメールをいただいた。
そこに書かれていたことというのが、

「これまで究極の『後ろ向きの行政』を担当していましたが、今後は真逆の『前向きの行政』を所掌いたします」と書かれていました。

私もあきれたんですけど、室長もいろんな方がいて、現地に100回以上足を運んだ人もいらっしゃいました。
ですが私の経験で言うとこういうタイプ(後ろ向きの行政)の方が多かった気がします。
与えられた仕事を正確に間違えずにこなして次の異動を待つ。その結果こういうことが起きたと言えると思います。


■畑中香保里キャスター
少し悲しくなってしまいますが、なぜ水俣病を担当することが「後ろ向きの行政」になるんでしょうか?


■東島大デスク
水俣病は70年近く前に起きた古い公害だからということではないと思います。
これまでに2回も政治解決があって、それでも解決されずに裁判が起きて判決が続いていますよね。
現場にいる官僚たちが問題解決のために自由にかっ達にアクションを起こさない。
自らが後ろ向きになっている。
環境大臣は環境省の責任だと何度もおっしゃいましたけど、だとすればこの水俣病の解決に持って行けるような議論が官僚からもできるようにつなげていくべきだと思います。

■畑中香保里キャスター
今後の姿勢が問われるところです。
一連の経緯を受けて熊本県の木村敬知事は
「このような事態になったことは大変残念に思うところです。しっかりと皆様のお声をお聞きし、実りある場となるよう環境省において運営の改善をお願いしたいと考えています」とコメントを出しています。