【強豪校でいじめ】全裸で土下座を強要し撮影 被害生徒が胸の内を語る 学校の対応に不信感
強豪校で知られる熊本県立大津高校男子サッカー部で、男子生徒が全裸で土下座をさせられ、その様子を撮影されるなどのいじめを受けたとされる問題。被害にあった生徒が「辛い思いをするのは、自分が最後であってほしい」と胸の内を語りました。
全国大会常連の県立大津高校男子サッカー部。冬の選手権に19回出場し、去年は準優勝。今年はベスト4に進出しました。この強豪校で陰湿な「いじめ」が明らかになったのです。
熊本県教育委員会によりますと、去年1月、全国高校サッカー選手権大会の宿泊先で、当時1年生だった男子生徒は、先輩にあだ名を付けたと疑われ、謝罪を強要されます。その際、服を脱ぐように言われ、全裸で土下座し、その様子をスマートフォンで撮影されたということです。
■被害にあった生徒
「謝ろうとしたら『いや土下座じゃないの?』という感じで言われて、いや言っていないんですけどと言ったら、いいから土下座で謝ってということで、土下座しようとしたときに『全裸になれ』と全裸で土下座する形になって、そこで同級生と先輩を含めた数人がスマホで写真におさめたという形」
報復を恐れ、先輩が卒業するまでいじめを受けたことを言い出せずにいたという男子生徒。心身ともに我慢の限界を迎え、学校に居づらくなるのを覚悟で今年7月下旬、親に告白し、その後、担任に相談しました。
しかし、その後の学校の対応に不信感を抱いたといいます。
■被害にあった生徒
「学校がとった行動っていうのは、 自分たちが学校に相談して認知したけど、県教委に言わなかったって。そこで遅すぎる、なかなか進まないっていうことで、保護者が県教委に電話した」
8月下旬、学校は聞き取りを行った結果、男子生徒に対し、いじめがあったことを認めました。しかし、その時点で県教委に報告しませんでした。9月上旬、事態の進展がないことから保護者が県教委に相談し、ようやく県教委が事態を把握したのです。
学校は、生徒の相談から約2か月がたった9月29日、「いじめの重大事態が発生した」とする報告書を県教委に提出。学校は、KKTの取材に対し「基本調査による事実確認ができてから、県教委に連絡をしようと考えていた」としています。
この対応に県教委は…。
■熊本県教育委員会学校安全・安心推進課 岸良優太課長
「国が示している重大事態のガイドラインでも、例示として全裸にさせたというのは重大事態にあたる例として掲げられている。その点に鑑みれば、そういう訴えがあった時点で直ちに一報があるべきだと私たちとしては考えている」
県教委は、事実を明らかにするため、いじめ防止対策推進法に基づき、学校に第三者委員会を設置することを決めました。
3日夜。大津高校を訪れる保護者の姿が…。開かれたのは全学年を対象にした緊急の保護者会。
その場で学校は、サッカー部員全員への面談や、窓口としての顧問増員、スマートフォンなどで匿名で悩みを相談できるツールを導入することなど、今後の対策を明らかにしました。KKTの取材では、保護者から「いじめを見ていた他の生徒が相談できる体制づくりをしてほしい」などの意見が出たことが分かりました。
■大津高校 西野俊一郎副校長
「厳しいご意見があったので、学校に対して大丈夫なのかという雰囲気は感じた。真摯に受け止め、学校がよりよく、そして生徒のために楽しい学校になるように今後意見を活かして、学校の改善に取り組みたい」
学校は、謝罪を強要した先輩が卒業したことを理由に、部活動の自粛や今後の大会への出場辞退などは考えていないとしています。一方で、男子生徒は、いじめには同級生も関与していると証言します。
■被害にあった生徒
「(同級生が)加担して写真撮ってますし、(部屋に)呼び出していますし、ちゃんと向き合っているのであれば、それなりの行動はとるべき。今の状態だと全く感じられないので、そこは改めて考えるべきだ」
県教委は、いじめがあった当時、複数の生徒が周囲にいたことを確認していて、具体的に誰がいじめに関与したのか、第三者委員会で明らかにするとしています。