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検証 能登半島地震 なぜ進まない?水道管の耐震化

2024年2月9日 19:58
検証 能登半島地震 なぜ進まない?水道管の耐震化
広い範囲で断水が発生した能登半島地震。氷見市では完全復旧までに20日間かかり、生活に深刻な影響が出ました。災害に強い水道に向けての課題とは。清水記者のリポートです。

元日の地震の影響で、富山県内では最大でおよそ1万9000戸が断水しました。このうち氷見市では、およそ1万4000戸が断水。給水所には長い列ができました。氷見市で水道が完全復旧したのは1月21日でした。

氷見市民
「うれしい、水のありがたみがわかった」

氷見市上下水道課によりますと、市が管理する水道管では破損などによる漏水がおよそ200か所確認されています。さらに、住宅敷地内の管でも漏水が多発しました。

氷見市上下水道課 足立章夫課長
「市内各所でたくさんの漏水が発生しました。そのことから、氷見市の上田子にあります配水池の水が2時間たらずで空になってしまいました。このことから漏水の場所がわからなくなってしまったと」

漏水が相次いだことで、市のほぼ全域で断水。その復旧工事は漏水している水道管を探しながらの作業で、時間がかかりました。

1月。漏水したパイプを応急的に、新しいパイプに交換する工事が行われていました。

水道管の工事会社
「継ぎ目部分になるんですが、ちょっと角度変わって、変形したんです。そしたら、中のほうなんですが、ここずれて、パッキンも裂けた状態になっていました。これ耐震化の管ではないので、地震の影響で、曲がって折れたり」

接続する部分が外れにくい柔軟性のある水道管や、割れにくい水道管が地震に強いとされています。漏水が相次いだ背景には、水道管の耐震化が進んでいない現状があります。

氷見市上下水道課 足立章夫課長
「今回の地震におきましては、耐震管の漏水事故は発見されておりませんでしたので、耐震化することは非常に有効な手段だと考えております」

耐震性がある管の割合、耐震適合率は主要な水道管では富山県全体が42.1パーセント。氷見市は21.2パーセント。政府は2028年度末までに60パーセントまで引き上げる目標を掲げていますが、耐震化はなかなか進んでいません。

氷見市は近年、老朽化した水道管を更新するための事業費を増額していて、年間およそ5億円を投じています。しかし、人口減少が進む地方都市はどこも水道料金収入が減っています。専門家は「市民の負担を増やしてまで耐震化を進めるか対応に苦慮している」と指摘します。

近畿大学経営学部 浦上拓也教授
「水道料金が非常に高くなりがちな地方の小さな自治体において、耐震化への取り組みを促すのは高い水道料金を、さらに高くしなければいけないという判断になりますから、どうしても投資の先送りというか、なかなか水道料金を上げてでも耐震化を進めるという経営判断になりにくいところから、多くの場合いわゆる投資の先送りがこれまでずっと行われてきている」

また、業者からは担い手不足を訴える声も。

水道管の工事会社
「皆さん頑張ってるんですけれども、後継者がいない、新しい人が入ってこない、水道になると資格もいる」

浦上教授は今回の地震被害を踏まえて、対策を見直すべきだと話します。

近畿大学経営学部 浦上拓也教授
「今までの取り組みで十分じゃなかったのか、これからも同じように行われる取り組みを続けていっても、今回のような地震が起これば、これだけの被害は避けられないということを前提に、それに対しての対応策を考えていくのかということは、今回の地震で我々は学ぶ必要がある」

水道が重要なライフラインであることは今回の地震でもよく分かりました。国や自治体には重要な課題として取り組んでほしいと思います。
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