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店を出す場所は違っても…復興する日を信じて開くそれぞれの輪島朝市

2024年5月29日 18:24
店を出す場所は違っても…復興する日を信じて開くそれぞれの輪島朝市

いまだ復興のめどがたたない輪島朝市。
組合員らは散り散りになりながらも各地で朝市を開くなどして生計をたてています。
復興するその日まで…それぞれの思いを取材しました。

先週、金石港に集まった朝市組合のメンバーたち。
トラックに次々と商品を積み込み、向かったのは愛知県・豊川市です。
この日、東海地方で初めて「出張輪島朝市」を開くことになりました。

「いかがですか~輪島の塩辛おいしいですよ~」

これまで金沢市の金石港を皮切りに各地で開催してきたこの出張朝市ですがいま、たくさんの企業や団体などから出店のオファーが相次いでいるんです。
その日程調整など全てを1人で管理しているのが組合員の一人橋本三奈子さんです。

橋本三奈子さん:
「今インターネット出来る人がほとんどいなくて打合せとかするとメールとか写真、ファイル添付して送るとかそういうのができる人がほとんどいなくて担 ってる」

東京出身で大手IT企業のシステムエンジニアだった橋本さん。
輪島で作られる塩の奥深さに魅了され8年前に東京から移住し朝市通りで食堂を始めました。
しかし、火災で店と自宅が焼失し金沢で避難生活を送りながら出張朝市の調整役と、塩の販売を続けています。

「朝市行ったのよって言われたり、塩買ったことがあるという声が多かった」
「うれしく思います…はい」
「活動できる場は散り散りになってしまうが、それでもみんなが出張輪島朝市っていうことで復興の日まで自分のできることを一生懸命やる、継続していき たい」

同じ日、輪島市内にも朝市の組合員らの姿がありました。
出店していたのは輪島朝市野菜部会のメンバーです。
先月中旬から毎週土曜日、市内にある仮設住宅の一角で出張朝市を開いています。
早朝から仮設に入居している住民やボランティアなども訪れにぎやかな声が聞こえてきました。

買い物客:
「こんだけのお店でこんだけの活気があるのでお買い物する方も売ってる方も笑顔がいっぱいで良いですね」

田中そとえ さん:
「みんな来てくれると嬉しいよね。なんか元気が出てきた」

出店者のひとり、田中そとえさん75歳。朝市で50年近く青果店を営んできました。
生活のため、今は仮設住宅と自宅の倉庫で野菜や果物を販売し慣れ親しんだ輪島の人たちの生活を支えています。

田中さん:
「地野菜みんな欲しがるよ。輪島の人通ったらいいのあるなって欲しがるよ」
「大変やよ。でもなんもせんとおったってだめやろ。やっぱりなんかしとった方が。お客さんとしゃべっとったら楽しいし」

いつかは元の輪島朝市へ。
復興への思いを胸にいまはそれぞれの場所で生き抜いています。