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情報漏えいの県警元巡査長が初公判で起訴内容認める 検察は懲役1年求刑 法廷で語ったことは…

2024年7月11日 19:01
情報漏えいの県警元巡査長が初公判で起訴内容認める 検察は懲役1年求刑 法廷で語ったことは…

 県警では、今年に入り、不祥事が相次いでいて、元幹部や現職警察官合わせて4人が逮捕・起訴されています。このうち最初に逮捕された1人、捜査資料などの情報を漏えいした罪に問われている元巡査長の男の初公判が開かれました。裁判は11日で結審し、検察側は懲役1年を求刑しました。

 地方公務員法違反の罪に問われているのは、県警の元巡査長、藤井光樹被告(49)です。起訴状によりますと、藤井被告は、去年6月から今年3月にかけ、個人の犯罪経歴の情報や個人情報が載った捜査資料をウェブメディアの記者に送るなど職務上の秘密を漏らしたとされています。

 事件をめぐっては、ウェブメディアへの家宅捜索がきっかけで、県警の前の生活安全部長、本田 尚志被告が別の情報漏えいの罪で逮捕・起訴されています。

 11日、鹿児島地裁で開かれた藤井被告の初公判。なぜ情報を漏らしたのか。動機に注目が集まりました。

 藤井被告は起訴内容について、「間違いありません」と全面的に認めました。

 検察側は冒頭陳述で、「ウェブメディアの記者に新型コロナ宿泊療養施設での強制性交事件の捜査状況などについて情報提供を求められた」とした上で、「記者と良い関係を築き、見返りに得られた情報を県警組織に提供すれば、自分の評価が上がると考え依頼を受けた」と犯行に至る経緯を明らかにしました。

 被告人質問で藤井被告は、犯行の動機についてこう述べました。

「ウェブメディアの記者の信頼を勝ち取り、情報を得て、私自身の組織での評価を上げたかった」
「新型コロナ宿泊療養施設での強制性交事件の被害者が不憫に思った」
「県警に対して漠然とした不満があった」

 3つの動機の中で、ウェブメディアの記者からの信頼を得たいという思いが一番大きかったとも話しました。

 裁判は11日で結審し、検察側は「警察官の職務に対する信頼を大きく損なう悪質な犯行」などとして、懲役1年を求刑しました。

 一方、弁護側は「動機の一部には県民に信頼される警察組織に改善したいという思いが含まれていて、利益のみを目的とした守秘義務違反事案とは異なる」などとして、執行猶予付きの判決を求めました。

 裁判の後、藤井被告が取材に応じました。

(藤井光樹被告)
「裁判の中で自分の考えを申し上げることはできたが、今回私が身勝手な犯行をしてしまったことで関係者に多大な迷惑かけている。私が行った行為がどういった結果になろうとも、それはいかなる理由があっても許されることではない」

 判決は8月5日に言い渡されます。