【実情】バスも宿も争奪戦!? 価格高騰する修学旅行 教育現場の課題と工夫 “新たな形”を見出す学校も
■毎年同じ行程でも確認事項が多い修学旅行
(T-LIFEパートナーズ・今森智之さん)
「アレルギーに関しても6年3組の2人でよろしいですかね?」
1年前から準備をしてきましたが子どもたちの安全を考えると先生は気が気ではありません。
(教諭)
「病院とか…もし何か会った時は?」
(T-LIFEパートナーズ・今森智之さん)
「隣が病院になっているので徒歩で行っていただける)
毎年、同じ行程でも確認事項は多岐に渡ります。
■家計の負担が増!右肩上がりの“修学旅行費用”
2024年問題が引き起こす人手不足。さらに観光の需要が拡大し、バス、ホテルの争奪戦は激しさを増しています。希望の日程で実施できない学校が増えています。燃料の高騰もあり修学旅行の費用は右肩上がり。鴨池小は今年、約6000円増えて2万3900円に。ここ10年で最も高くなりました。
打ち合わせ後、旅行会社が取り出したのは来年の見積もりでした。早くも次の年の準備が始まっています。出発の朝。大きな荷物を抱えた子供たちが次々とやってきました。旅行費用について保護者に聞くと・・・
(保護者)
「費用がけっこうしましたね。見た時、驚きました」
(保護者)
「3年上に息子もいたがその時と比べると10%ぐらいは上がった印象」
■バスガイドは県外から応援!?人手不足が襲う観光業界
バスガイドも人手不足、費用の問題でほとんどの学校が今はつけません。お願いする場合は…
(T-LIFEパートナーズ・上別府 郁代さん)
「よその県から宮崎や熊本のガイドさんに来もてらうこともある」
子どもたちは、熊本城、三井グリーンランドを訪ねる1泊2日の旅に向かいました。
費用について学校長は…
■時期や行き先の分散はできないの?小学校の修学旅行
(鴨池小学校・桃北紀和校長)
「ある意味、仕方ないこと。色々な物価が上がっているのは知っている。保護者の理解を得られる範囲、説明できる範囲でおさめられないか常に考えながら学年主任を中心に検討している」
打ち合わせの際、旅行会社がこんな話をしていました。
(T-LIFEパートナーズ・今森智之さん)
「時期の分散、行き先の分散。ほとんど同じコースなのでだいたい宿泊先も同じ。希望する日程も同じだと確保しづらい」
このことを学校長に伝えると…
(内田直之キャスター)
「他の時期に行ったらいいのでは?という考えもあるようですがいかがでしょうか?」
(鴨池小学校・桃北紀和校長)
「そういう提案はあると思う。他の行事との関連もありますので難しい。冬場はインフルエンザが流行ってくる。できれば避けたいのが本音」
■経済的な理由を抱える家庭への“就学援助制度” 利用者の数は・・・
■義務教育が社会情勢の影響を受けるのはアリ?ナシ?
こうした状況について。社会教育の専門家は。
(早稲田大学・文学学術員 久保田治助教授)
「物価も去年から今年になって大きく変わっている。その分の負担が家庭に行くのは義務教育だと問題かなと思う。修学旅行の費用の補助をできれば国や地方行政がもう少し考えてもらえたらなと思う」
「本来、義務教育は社会情勢の影響を受けるべきではない」と訴えます。
■新たな“修学旅行の形” 小学校が活用したのはバスではなく・・・
そうした中、修学旅行の新たな形を作りあげた学校があります。鹿児島市の中郡小学校です。2年前に、移動手段をバスから九州新幹線に変えました。近年のガソリン価格の高騰などで費用も上がっていたため意外にも2000円程度の増額で済んだそうです。新幹線の利用は大きなメリットがあったと言います。
(中郡小学校・日髙京美校長)
「移動時間が短くなったので修学旅行本体にかける時間が長くなったのが一番のメリッ
ト.子供たちの体調の管理もしやすくなった」
乗り物酔いをする子供がいなくなったそうです。
さらに、学校は今年。旅行先を初めて、熊本から福岡に変えました。
(中郡小学校・日髙京美校長)
「対象学年に肢体不自由の児童が1人いた。その子が修学旅行を楽しめるのかな?というのが一番最初の思いでした」
■全ての児童が楽しめる修学旅行に!先生の思いが改革を生んだ
熊本城やグリーンランドではすべての児童が楽しめないと考え、車いすでも利用しやすい福岡のキッザニアを中心とした旅行に変更しました。楽しみにしていた遊園地が別の施設に変わったことに子供たちは
(中郡小学校・阿蘇谷凛さん)
「先輩には申し訳ないけど今年で良かったな。熊本よりも福岡の方が遠いし新幹線に乗れ
るのも長い。福岡は都会なので色んな所に行ける」
(中郡小学校・長谷玲沙さん)
「楽しかったです。キッザニアで色んな職業を体験できたこととか」
行き先を福岡に変えたことで費用は去年を約9000円上回る3万3890円に。しかし、保護者から不満の声はあがりませんでした。誰1人かけることなくみんなが楽しめる修学旅行にしたい。先生たちの思いが新たな修学旅行を作り上げました。
■前例踏襲が多い教育現場 これまで以上に“柔軟な対応”を
(内田直之キャスター)
「安心安全を第一に考えると、どうしても修学旅行は前例を踏襲する学校が多いようです。行き先や時期の変更は先生たちの負担が増えるという側面もありますが、旅行費用が高まる中、教育現場は、これまで以上の工夫、柔軟な対応が求められています」
(2024年11月27日news every.かごしまOA)