×

平均70歳、人口90人の出島に約170億円の橋…観光面だけでない町長の狙いは?

2025年3月31日 11:00
平均70歳、人口90人の出島に約170億円の橋…観光面だけでない町長の狙いは?

定期バスの運行が始まり出島にとってまた新たな1ページとなったが、島民の悲願、とされてきた出島大橋の開通から3か月あまり。
今後、この橋をどのように活かしていくのか。
事業を推進してきた須田町長に話を聞いた。

去年12月。女川町の本土と出島が1つの橋でつながった。

女川町 須田善明 町長
「みんなで繋いできてこの1点に力を注いでいただけたからこそ扉を開けることができて、そして扉の先にこれから進めるようになったんです」

平均年齢70歳、住人90人の島に橋

出島の住人は90人。
平均年齢は約70歳となるこの島に病院や飲食店は無く、女川の中心部まで車で15分というアクセスを実現させたこの橋は、島民にとってまさに悲願だった。

開通から3か月あまり。
整備を進めてきた女川町の須田善明町長は、一定の手ごたえを感じているようだ。

女川町 須田善明 町長
「多くの皆さんがまず1回行ってみようということで足を運んでいただいて、関心を持っていただく、また、それぞれ皆さんにとっての行き場所のひとつとして滑り出しができたということは非常に良かったかなと思います」

出島は町の漁業生産全体の4分の1を占める

ツーリング、バイク雑観橋の開通で島には釣りやツーリングで訪れる人が増えた。
駐車場やトイレなどが整備され始めたほか、民宿のオープンも準備を進められるなど、島には少しづつ活気が沸き始めている。

女川町 須田善明 町長
「もともとある島の風情、文化、価値観みたいなものをちゃんと大切にしていきたいですし、一方で新しい流れに対して島の皆さんがなじんでいく必要もある。何かをつくってボンと置くではなく、みんながゆっくり手をかけて育てていくイメージで、皆さん関わりを持っていただければありがたいなというふうに思います」

約170億円の費用を投じて整備された出島大橋。
須田町長が出島大橋に求めるのは、観光面のメリットだけではないと言う。

女川町 須田善明 町長
「あの島の漁業生産における町へのウエイトというのは漁業生産全体の4分の1を占める。人が少なくなるとこの漁場価値を活かしきれなくなるということ。それは町の経済にとっても大きな損失です」

これまでは船しかなかった災害や緊急時の搬送ルートを確保する、「命の橋」となること。
出島だけでなく、町にとって主要産業となる漁業の土台を守ること。

島だけでなく、町全体の成長を促すために、出島大橋の活かし方が問われている。

最終更新日:2025年3月31日 11:00
おすすめ