「長い間ありがとうございました」一畑百貨店 昭和・平成・令和3つの時代を駆け抜け65年の歴史に幕 最終日には12000人が訪れ感謝伝える 島根県松江市
一畑百貨店 井上智弘 専務
「長い間ありがとうございました」
1月14日、65年の歴史に幕を下ろした島根県松江市の一畑百貨店。最終日となった14日は別れを惜しむ大勢の人が駆けつけました。ファンや関係者、それぞれの思いを取材しました。
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去年6月に閉店を発表していた一畑百貨店。窓にはキャッチコピーが掲げられていました。
一畑百貨店 錦織要 社長
「一畑百貨店のキャッチコピーとして長らく使ってきた『人が好き 街が好き』ということで、これが一畑百貨店のキャッチコピーの中で非常に皆さんに愛されたのかな、それをみてまた一畑百貨店をより思っていただければなと思います」
一畑百貨店勤務33年のベテラン販売員、吉山節子さん。最終日も常連好みを捉えた百貨店の接客を貫いていました。
常連客
「話が上手ですから。商売上手で山陰独特の親しみやすい言葉で話してこられますので心地よかったですね」
吉山節子さん
「お客様にはもう本当に感謝感謝でね。最後まで悔いのないように、お客さんあってのお仕事だったのでね。本当に来ていただいて、たくさん長いことおるとお得意さんがたくさんおられるからね」
この日は店員からだけでなく常連客がこれまでの感謝を伝えていました。一畑百貨店の有料会員「一畑友の会」のブースではー。
客
「楽しい思い出をたくさんいただきまして。初めから涙が出て。またお会いいたしましょう」
最終日となったこの日、いつもの4倍となる12000人が訪れ、一畑百貨店最後の1日を楽しんでいました。
一畑百貨店 井上智弘 専務
「お客さんの数がすごいわこれ」
一畑百貨店一筋42年の専務・井上智弘さん。職場を愛してきた一方で、閉店の責任も感じてきました。この日は積極的に売り場に立ち、顔なじみの客や関係者に挨拶をして回る中で、多くの労いの言葉をかけてもらったと言います。
一畑百貨店 井上 智弘 専務
「よう頑張ったなと、僕に対してね。身に染みますよ。私としては地域貢献ということが出来たかなと思っております。お客様に対しては65年間本当にありがとうございました、もうそれしかないですね」
一畑百貨店は経営の多角化を進める一畑電鉄が1958年に創業。島根県唯一の百貨店として長らく地域に愛されてきました。しかし近年、ネット通販や郊外型ショッピングモールの台頭、新型コロナウイルスの影響で売上が低迷。閉店を余儀なくされたのです。会場にはこれまでの歴史を写真で振り返るパネル展も開催。その中に懐かしそうに写真を見る女性がー。
石倉由美さん
「勤めてたので4年前まで。だからもうどうしても来たくて来ちゃいました今日は」
写真を眺める石倉由美さんは、高校卒業後に一畑百貨店に就職。結婚・出産で一度離れますが、その後復職。この場所には色々な思い出が詰まっているといいます。
石倉由美さん
「いっぱいあります思い出が。今でもずっと入社当時からの友達もいますし、私にとっては実家と同じくらいです。もう、“ありがとう”しかありません。なんかね…さみしい。でも本当にありがとうです」
そして迎えた午後6時30分。一畑百貨店の正面玄関には閉店を惜しむ大勢の人が集まっていました。
訪れた人
「百貨店って文化的な彩りがある感じがあったので」
「集えるようなそんな社交の場でもありました。私たちにとって大事な場所でした」
閉店セレモニーでは錦織要社長が集まった人に感謝の言葉を伝えました。
一畑百貨店 錦織 要 社長
「昭和・平成・令和と3つの時代を駆け抜けて65年の幕を下ろす時がまもなく近づいてまりました。みなさまの思い出、心の中に残ることができるならば我々としてはこれ以上ない喜びでございます」
そしてついにー。
一畑百貨店 井上智弘 専務
「ただいまをもちまして一畑百貨店閉店いたします。長い間ありがとうございました」
多くの人に愛され、時代を作ってきた一畑百貨店。それぞれの思いを胸に、その歴史が終わりを迎えました。一畑百貨店の土地・建物は一畑電鉄が保有していますが、現在、賃貸でテナントを誘致するか売却するかの2つの方針で交渉しているということです。また駐車場については今後も営業を続ける方針だということです。