若きパティシエが生みだした“とべもり+”のお土産スイーツ!「お山のフロランタン」誕生秘話
愛媛県がアドベンチャーゾーンとして誘客促進に取り組む、とべ動物園やえひめこどもの城など4つの施設を含むエリア、「とべもり+」に名物誕生です。
3月から販売が始まったお土産スイーツ、誕生までを追いました。
愛媛県では、とべ動物園をはじめとした4つの施設からなる「とべもり+」をイメージして、県産の農産物を使ったとっておきのスイーツの商品化を目指してきました。
毎年恒例「えひめスイーツコンテスト」ことしの特別テーマが“とべもり+”
投票板前にいる子どもたち:
「これにしたよ」
「これおいしかった」
スイーツを通して県産農産物の消費拡大を目指そうと、2009年からコンテストを行ってきた愛媛県。今回そこに特別なテーマが加わりました。
「とべもり+(プラス)」と呼ばれる4つの施設を連想させるお菓子であること。
優秀な作品は、とべもり+のお土産スイーツとして商品化されます。
「フロランタン」ってどんなお菓子?
愛媛調理製菓専門学校の学生、水木ひらりさんです。今回「お山のフロランタン」でコンテストに挑みました。
水木さん:
「夏休みの前半くらいに学校に行ってフロランタンを作って、先生方だったり手伝ってくれる友達もいて」
「フロランタン」は、クッキー生地にキャラメルでコーティングしたアーモンドをのせて作るフランス伝統のお菓子です。
祖父がミカン農家だという水木さん。ここに「愛媛らしさ」を加えました。
水木さん:
「みかんジャムが入っています」
Q.これがこだわり?
「はい、柑橘を感じさせるために入れています」
みかんジャムをアーモンドと混ぜて生地の上に塗り広げ、オーブンへ。焼き加減もこだわりの一つです。
「焼きが甘いと美味しく見えないので、ちゃんと焦げ目をつけることによって美味しそうなお菓子に仕上がる」
しっかりと焼き目が付いたら形を整える作業です。
「『とべもり』ということで山をイメージして三角に作りました」
実はこの工程、力加減を間違えると角が割れてしまうため、意外に難易度が高いんです。
最後はホワイトチョコでコーティング。水木さんの「お山のフロランタン」はコンテストで準グランプリを獲得。「スマイルサンド」と一緒に商品化されることになりました。
しかし…水木さんの「こだわり」が大きなハードルとなるのです。
商品化にあたり…直面した“大きな壁”
1月中旬、商品化に向けたミーティング。
愛媛県都市整備課(当時)藤本久美さん:
「より良いものとしてとべもり施設で売っていく商品として育てていきたいと思っておりますので、今日は忌憚ないご意見をいただきながら…」
「お山のフロランタン」の製造を担当する就労支援施設Akariの児玉万年さん。
商品化にあたって必要なのは、オリジナルのイメージを保ち…商品を効率よく売るために賞味期限3か月を確保…そして、コストを抑えながら量産体制を構築することですが。
児玉さん:
Q:一番の壁になるのってどこでしょう、作り方とかコストとかいろいろあると思いますが?
「全部だと思うんですけど、どうだろうな」
商品化への「壁」。
水木さんのこだわりポイント①、みかんジャムなどに含まれる水分が賞味期限を短くすること。
こだわりポイント③の三角形にカットする際、形が崩れて商品にできないものが多くなってしまうこと。
さらに、夏場になるとホワイトチョコが溶けて見た目が悪くなること。
それでも。
Akari 児玉さん:
「とべ動物園とかこどもの城に自分たちが作った商品が並ぶっていうのもすごく夢があって、みんなもワクワクしているのでなんとか形にしたいなと思っています」
Akariの販売部門の一つ、パイ専門店Tsutsumiです。
水木さんを交えて、商品版「お山のフロランタン」を試作します。
Akari製造部リーダー 藤田統馬さん:
「三角になるとより鋭利になってしまうので、四角の形で提案させてもらいました。ボロボロになってしまうと、その分だけロスにもなってしまうので」
理想に近づけるため試行錯誤
いきなり、形が変わってしまいました。さらに、賞味期限を延ばすため、みかんの風味を出すためのジャムを県産ブラッドオレンジのピールに変更。
水木さん:
「学校で作ったのと全然形が違う」
藤田さん:
「これはどうでしょう?」
水木さん:
「作る工程も全然違いますし、なんか違うフロランタンを作った…違うお菓子を作ってるみたいで、完成品が出来上がるのが楽しみです」
藤田さん:
「焼き加減大丈夫ですか?」
水木さん:
「はい、でもアーモンド感があんまりない。あとみかんパウダーあんまり感じないかな。もう少し柑橘の味を入れられたらいいかなと思います」
少しずつ、商品版「お山のフロランタン」が形になっていきます。
いよいよ発売日!お客さんの反応は
そして迎えた発売日。山、そして森をイメージしたパッケージに入った「お山のフロランタン」。同じく商品化を目指していた「スマイルサンド」と合わせて、特設売り場に並びました。
購入客 子どもたち:
「ナッツみたいな味」
「サクサクだった」
男の子:
「おいしい。はーい」
母:
「かんきつの風味がする気がして すごいおいしかった」
そして、水木さんも。
「とてもおいしい!みなさん買ってほしいです」
「とべもり+」に誕生したここでしか買えない特別なお土産スイーツ。見かけたらぜひ手に取ってみてください。きっと、作った人たちのこだわりが見えてくるハズです。