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【ありがとうT4】JR東海「ドクターイエロー」多くのファンが見守ったラストラン“惜景”ハイライト(静岡)

2025年1月30日 16:59
【ありがとうT4】JR東海「ドクターイエロー」多くのファンが見守ったラストラン“惜景”ハイライト(静岡)

黄色い車体で、めったに遭遇できないことから、「見ると幸せになる」と言われるドクターイエロー。29日、東京駅に向け、博多駅を午前10時40分に出発しましたが、これが特別な1日の始まりとなりました。

ドクターイエローは、「新幹線のお医者さん」とも呼ばれ、走行しながら線路や電気設備などを点検する検査車両で、東海道新幹線の開業から60年間、超過密ダイヤでありながら、乗車中の乗客が死亡する事故はゼロという世界トップクラスの安全輸送を支えてきたのです。

現在のドクターイエローは、JR東海の「T4編成」とJR西日本の「T5編成」がありますが、2001年に登場したJR東海の「T4編成」が、老朽化に伴い、
29日が最後の検査走行となったのです。

「T4」編成は、これまで四半世紀にわたり、10日に1回程度、東京~博多間を2日間かけて往復し、新幹線が走行する設備に異常がないか検査してきました。その運行ダイヤは公開されていないため、そのレア感から「見ると幸せになる」と言われるようになったのです。

29日、博多を出発したドクターイエローは、山口、広島と日本列島を東へぐんぐん進んでいきます。そして、約6時間経った午後4時11分、名古屋駅に到着しました。ここでは約1分間停車し、車内にいる乗務員がホームに集まった人たちに感謝を込めて手を振る様子もみられました。

窓には「ありがとうT4」と装飾されたドクターイエロー。集まったファンたちが手を振って送り出します。この日の運行ダイヤはもちろん、これがラストランになることも公表されていませんでしたが、ファンの間で予想され、これだけたくさんの人が、最後の雄姿を一目見ようとホームに集まったのです。

ドクターイエローの正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。いったいどのような試験を行ってきたのでしょうか。

まずは「電線のチェック」。電気で走る新幹線は、電気の供給源であるトロリ線と呼ばれる電線のすり減り具合や、ずれがないかを、測定用のパンタグラフやカメラを使ってチェックします。また、車内にいる検査員が、「支障物検知装置」と呼ばれる針金のような検査機で異常がないかを監視しています。

電線だけではありません。走りながら「線路のチェック」も行っています。東海道新幹線の最高時速は285キロ。列車の重さや振動によって、線路には高低差や左右へのゆがみが生じてしまいます。それを、先頭車に取り付けてあるカメラで線路を映し、ゆがみをチェック。さらに、床下からレーザー光を照射し、反射する光の強さで、線路のゆがみをミリ単位で測定しているのです。何気なく利用している新幹線ですが、その裏には、ドクターイエローの活躍があったのです。

名古屋駅を出発したドクターイエローはいに静岡県内へ。午後4時38分、夕日が黄色い車体を照らす中、浜松駅を通過。新幹線の撮影スポットが多くファンにも人気の静岡県。まずは、静岡の名産「お茶」と最後の共演です。午後4時45分過ぎ、菊川市内の茶畑を駆け抜けていきました。

(ファン)
「最後だから、息子と一緒に見に来られたらということで」「迫力があった」」

写真には「ありがとうT4」の文字も。

(ファン)
「これ撮りたかったんですよね。最後文字が書いてあると知ったんで」

県内の駅には停車することなく進んでいくドクターイエロー。日がだんだん落ちていく中、静岡市内へ。用宗を超え安倍川の鉄橋を渡ると、4時5分、静岡駅へ。駅のホームには、カメラを手にドクターイエローを待つ多くの人たちの姿が。

(勝俣 宜彦 記者)
「黄色い車体が静岡駅へと入ってきます」      

あっという間に通過してしまいましたが、その雄姿を目に焼き付けることができたようです。

(ファン)
「最後に撮れてよかったです」「幸せの黄色い新幹線と呼ばれて
いますから、もう幸せが見られなくなってしまう」

(ファン)
「ドクターイエロー、お疲れ様と同時に悲しい」
Q.幸せになれましたか?
「なります なります」

県内を横断していくドクターイエロー。

(片平 真由 カメラマン)
「夕日に照らされたドクターイエローが 静岡市市内を駆け抜けていきます」「窓には、『ありがとうT4』の文字も見えます」

たくさんのビルや住宅が建ち並ぶ静岡市内を駆け抜けていき…次は「富士山」と最後の共演です。

(島田 悠以 記者)
「富士山には、少し雲がかかっていますが、富士山とドクターイエローの姿をカメラでとらえようと、きょうも多くの人が訪れています」

人気の撮影スポットとあり、世代を問わずたくさんのファンの姿が。

(ファン)
「ドクターイエローが最後だから、見逃さないよう」

午後5時過ぎ、真っ白に雪化粧した富士山の前を走り抜けていきました。

(ファン)
「きょうは攻めました こんな感じです」

(ファン)
「かっこいいですね。寂しいですね。なんとなくね。そんな気がします」

県内を走り抜け、沿線の多くの人たちから見送りを受けたドクターイエロー。県内最後は、日も暮れる中熱海を午後5時15分に通過。

(ファン)
「撮れました。こんな感じで撮れました」「ラストランで最後見られてよかった。いい記念になりました。最後見納めできてよかった」

ライトの光を輝かせながら静岡県を後にしていきました。

そして、神奈川県も走り抜け、午後5時54分、終点の東京駅に到着。約1100キロに及ぶ最後の検査走行を終えました。ホームには、24年間の功績を称えるかのように、多くの人が、その登場を待ちわびていました。中には、ドクターイエローのグッズを持った子どもたちの姿も。

(ファン)
「(見られて)うれしかったです」

(ファン)
「まだ、いてほしいというか」「また、戻ってきてほしいなって思
 うね。まだ、いてほしいね」

(ファン)
「きのうの夜作った旗です」「かっこよかったです。最後、ちゃんと見送れてよかったです」

今後の検査は、JR西日本のドクターイエロー「T5編成」が引き続き行いますが、それも2027年をめどに引退する予定で、最新車両である「N700S」には検査機器が取り付けられ、ドクターイエローに代わり、営業運転しながら検査が行われるようになるということです。また、29日に引退したドクターイエローは、先頭車両が、6月ごろから愛知県の「リニア・鉄道館」に展示される予定です。

見ると幸せになるドクターイエロー。最後まで多くの人に笑顔を届けてくれました。

(ファン)
「お疲れ様!ありがとう!!」

最終更新日:2025年1月30日 18:43