【来年引退】ドクターイエローの雄姿を写真に 鉄道ファンが沿線に(静岡)
田んぼのあぜ道にずらりと並ぶカメラ。その数、20台以上!
お目当ては―。
(ドクターイエロー 走行音)
「ゴーーーーーー!!!!」
鉄道ファンの間で「幸せの黄色い新幹線」と呼ばれる検査専用車両「ドクターイエロー」です。10日に1回程度、東京と博多の間を走行していますが、ダイヤは公表されておらず、めったに見ることはできません。
長年に渡り新幹線の安全走行を支えてきましたが、老朽化などを理由に、JR東海の車両は来年1月、JR西日本の車両は2027年以降をめどに運行を終えることが先週発表されたのです。
(地元の老夫婦)
「もっと走ってもらいたいね。長く。寂しくなるよね」
(男性)
「まさか、こんなに(富士山が)出るとは思わなかったんで、皆いい写真が撮れたんじゃないですか」「いつも撮っているもんで、もうなくなっちゃうのでさみしいな」
“新幹線のお医者さん”とも言われる「ドクターイエロー」。そもそもどのような点検をしているのでしょうか。
正式名称は、「新幹線電気軌道総合試験車」。「ドクターイエロー」という愛称をいつ、どこでだれが付けたのかはわかっていません。世界初の高速鉄道として1964年に開業した東海道新幹線は開業以来これまで、乗客の死亡事故がゼロと高い安全性を誇っています。
新幹線は、電気を供給する電線にパンタグラフを接触させて、電気を受け取り高速で走行しています。ドクターイエローは、電線のたわみやずれ、そしてすり減り具合を測定用のパンタグラフなどでチェックし、電線が切れそうなところはないか点検しているのです。
測定用のパンタグラフにある針金のようなものは、支障物検知装置。これに、電線に引っかかったものなどが触れると検知します。そして測定用のパンタグラフからのデータやカメラの映像を車内で検測員が監視します。
また、新幹線が高速走行を繰り返すうちに列車の重量や振動によって、線路には高低差や左右方向へのゆがみが生じてきます。そこで、ドクターイエローが、先頭車に備え付けてあるカメラで線路を映して、ゆがみをチェック。さらに、床下にあるセンサー装置からレーザー光を照射し反射する光の大きさで、線路のゆがみをミリ単位で測定しています。
こうしたドクターイエローの地道な点検やそのデータをもとに設備の修理や交換が行なわれ新幹線の安全と安定した輸送が支えられています。
17日も県内を駆け抜けたドクターイエロー。
(清水将光 記者)
「引退が決まったドクターイエローが、いま浜名湖の上を通過していきました」
静岡市駿河区用宗にある新幹線の撮影スポットにも、ドクターイエローを撮影しようと訪れる人が…
(撮影に来た人)
「小さい時からみているので撮れるうちに撮っておこうと思って」
Q:引退することについて?
「びっくりしました」
ドクターイエローが通過するのは一瞬です。静岡駅を通過し安倍川を超えた時ついにドクターイエローの姿が!
(撮影に来た人)
「来た!」
ついにシャッターチャンスの時。満足のいく写真は撮れたのでしょうか。
(撮影に来た人)
「もう満足です。車体メインで撮りたかったので、生で見るとかっこいいですね」
多くのファンに親しまれたドクターイエロー。JR東海は今後、ドクターイエローの撮影会や記念グッズの販売実施を予定しているという事です。