【独自密着】悪質な伊勢エビ“密漁者”を許すな! カメラが捉えた緊迫の現場とは 清水海上保安部の取り締まりに迫る【every.しずおか特集】
焼津の海で伊勢海老の密漁を取り締まるのは、清水海上保安部の保安官です。暗闇に紛れて、大切な水産資源を違法に盗み取る密漁者や、迷惑な釣り人を日々取り締まります。
(海上保安官)
「こんばんは、これダメだからね、持ってきちゃ。ナイフ、包丁、これダメね。危ない」
悪質な伊勢エビ密漁者を許さない。海上保安官の深夜のパトロールに密着しました。
カメラが捉えた緊迫の現場とは
日夜、日本の海の安全を守る海上保安庁。その中で、駿河湾や遠州灘などを担当しているのが清水海上保安部です。保安官の永田恭兵さんの仕事は、海上犯罪の取り締まりから海難救助まで多岐に渡ります。この日は朝から、清水港周辺を航行する船に違反がないかパトロールに向かいます。パトロールでは、船舶免許などの必要書類を持っているかや、救命胴衣を正しく着用しているかなどをチェックしていきます。
(海上保安官)
「プレジャーボートの船長さん、清水海上保安部です」「巡視艇が近づきます、お気をつけください」
「すいません、いま海の事故と事件多いんですよ。それで声かけさせてもらいました」
この日の前日、南伊豆町でヨットから男性が転落し死亡する事故があったため、改めて船に安全航行を求めていきます。
海上保安官が深夜の漁港へ
海の安全を守る海上保安官の仕事は、地上でも。双眼鏡やカメラなどを準備し、暗くなった夜の港へと向かいます。そこで、暗闇に紛れ、違法な密漁を行う不届き者を取り締まるのです。特に力を入れているのが、高級食材として知られる伊勢海老の密漁です。今の時期は産卵シーズンに当たるため、漁業権がある漁師でも取ることはできません。大切な資源を守るためにも、身勝手な密漁者を許すわけにはいきません。
(海上保安官)
「すいません、釣り中に。いま、この辺で密漁が多くて、この辺で釣っちゃいけないものとかってお分かりに なります?」「 伊勢海老とか釣れることがあるんですよ。それは漁業権を持っている漁師さんがとっているものなので、漁業権がない人か取っちゃうと密漁になるんで。もし釣れたとしても、すぐ 海に返してくださいね。お願いします」
伊勢海老は夜行性のため、夜釣りで誤って釣ってしまう人もいますが、そのまま持ち帰ると漁業法違反で100万円以下の罰金が課せられます。
(海上保安官)
「密漁防止の看板というのはいたる所に掲示して啓発されてるところですので、知らないっていうことはほとんどないのかなと」
しかし、最近は外国人による密漁が増えているといいます。この日は高台から釣り人の様子を監視していると、立ち入り禁止であるはずのエリア内から、何 やらライトの光が…。
現場付近の物陰に隠れ、釣り人が帰ってきたところで声をかけます。
(海上保安官)
「こんばんは、今どちらで釣りされてました?」
立ち入り禁止エリアから出てきたのは、アジア系の外国人3人。確認のためクーラーボックスを開けると、中にはなんと包丁やハンマーが。海上保安官・永田さんによると、杭を打って釣竿を固定していたのではないかということです。密漁者ではありませんでしたが、立ち入り禁止エリアで釣りをしていたことを厳重注意しました。
さらに別の日、この日も立ち入り禁止エリア内で不審者の情報が入りました。立ち入り禁止エリア内を調べていると、暗闇の奥から3人組の姿が。手に持っていたのは釣竿だけ。密漁者ではなかったのでしょうか。
3人組を注意した後しばらく進むと、永田さんが白い袋を発見。中を確認すると、中には伊勢海老が。先ほどの3人組が、捕まるのから逃れるため置いていったのでしょうか。海上保安官は、再度3人に尋ねます。
「正直ここまでしつこく聞かれてる理由って、なんとなく察します?」「この状況で、私たちも違うって言われて、はいそうですかって簡単には無理ですよ」
(釣り人の3人)
「疑われるようなことをしたのは申し訳ない」
(海上保安官)
「他の人がいたのかもしれないですけど、そこは正直私たちも見てないでどうしようもないですけど、ここはもう正直に3人がどうだったのかっていうのは、私たちは聞きたいですね。改めてもう一回 」
(釣り人)
「本当に自分たちのものではない」
袋に入っていた伊勢海老は、海上保安官の手で海へ戻されました。
しかしその監視の目をかいくぐり、密漁する者が後を絶ちません。
(海上保安官)
「やっぱりとったところに自分たちがいない限り、難しい部分もありますけど、私たちが回っていて、伊勢海老が持って帰られて食べられるっていうのを未然に防げた部分では 、巡回している成果の一つなのかなと思います」
(静岡第一テレビ every.しずおか 8月7日放送)