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【独自】動物のSOSに全力疾走! 飼い主の気持ちに寄り添い、命の現場で奮闘する女性獣医師に密着【every.しずおか特集】

2023年11月2日 15:37
【独自】動物のSOSに全力疾走! 飼い主の気持ちに寄り添い、命の現場で奮闘する女性獣医師に密着【every.しずおか特集】
飼い主とペットのために奮闘する女性獣医師

1日に100件もの診察をする動物病院があります。 下半身麻痺の犬や骨折の猫まで、動物のSOSに応える、まさに 駆け込み寺。動物からも飼い主からも熱い信頼を集める、人気の獣医師さん。
(スタッフ)
「パワフルですね、常に走り回ってる、勢いがよくてあんまり止まってることはない」
いつも全力でパワフル!しかし、時にはつらい現実も…。

動物からも飼い主からも厚い信頼

御殿場市にあるユウ動物病院。スタッフは約40人、365日ペットの異変に対応します。院内にはリハビリ科や腫瘍科など、幅広い治療体制が整えられていて、多くの患者さんがやってきます。

先生のことが大好きなラブラドールレトリバーのマック8歳。この日は、月に一度の通院日。マックは、進行すると死に至る脊髄軟化症という病気の疑いがあり、下半身が麻痺しています。幸い発症から1年経った今も、ここでの治療のおかげで車椅子で生活することができています。

(飼い主)
「はじめは他の病院に行ったんですけど、うちでは手に負えないからと言われ、急だったんですけど、由佳先生がすぐ診てくれて」「 命の恩人だなって思っています」

そんな、動物からも飼い主からも人気の岸川由佳先生 54歳。地元・御殿場にアットホームな動物病院を作りたいと、26年前、この病院を開業。

さまざまな動物のSOSに応える

この動物病院が診ているのは犬や猫だけではありません。この日はハリネズミがやってきました。

(獣医師)
「大きな腫瘍があったんですけどそれを取って、術後2週間目の抜糸です」

飼い主の夫婦は、ハリネズミの治療を求め、山梨からこの病院へやってきました。

(飼い主)
「やっぱり針があって気づけなかった。気づいたら大きくなっていた。よかったです」

続いてやってきたのは、生後3か月のチワワとシーズーのミックス犬、パウ 。

(飼い主)
「嘔吐物の中に白い 虫がいたんですよ」

家に迎え入れて初めての嘔吐と下痢だったため、飼い主は心配でならない様子。

(獣医師 岸川由佳さん)
「回虫で間違いないかと思いますね」「全部出しちゃいましょう」

飼い主も、大きな病気ではなくて一安心。

(獣医師 岸川由佳さん)
「私は医療的・技術的な面はもちろん大事なんだけども、患者さんの気持ちの面とか大事にしていきたいと思っています」

命を救う喜びと死と向き合う現実

この日の診察は、フレンチブルドッグのボンガ 9歳。食道炎で入院して4日目。この日は飼い主が面会に訪れていました。食道炎は食道に炎症が起こる病気で、食べ物や飲み物の通過が悪くなり、嘔吐やよだれが止まらなくなってしまいます。

(飼い主)
「頑張んなさいよ、待っているからね」

家族の一員であるボンガの帰りを心待ちにする飼い主さん。
(一週間後…)
しかし、事態は急変します。回復に向け治療を続けてきましたが、この日の朝に発作が起き、息を引き取ったのです。

(飼い主)
「いろいろお世話になりました。よく診ていただいて感謝してます。ありがとう」

(獣医師 岸川由佳さん)
「ごめんなさいね」

(獣医師 岸川由佳さん)
「だいぶ経過が良かったので、元気に返せないっていうのは、やっぱり、ずっと診ていたのでつらいですよね。言葉には表せない」

救える喜びだけでなく、死と向き合わなければならない現実もあります。

(獣医師 岸川由佳さん)
「なんで続けられるかといったら、やっていきたいんだよね。だけど折れそうになる時はあるよね。一生懸命やってくれてるのはわかってるから『ありがとう』って言われると、苦しくはなるんですけど、(飼い主の言葉に)救われるんですよね。どうしてあげればよかったかなって、常にずっと365日追われてるんです」

飼い主の気持ちに寄り添い、治療に取り組む

それでも診察に待ったはありません。この日、手術室に運ばれてきたのは、ミニチュアダックスフントのココア13歳。脾臓(ひぞう)の一部に腫瘍ができ破裂する可能性があるため、脾臓の摘出手術を行います。ココアは心臓病も患っているため、麻酔手術はハイリスク。そのため1か月前から、この日のために手術の準備をしてきました。

(獣医師 岸川由佳さん)
「緊張はしますね、とにかく無事をと思いますし、元気にお返ししたいので」「アドレナリンが出る感じ、やってやるっていう感じ」

そして手術開始から約30分。腫瘍ができた脾臓は無事摘出成功。

(獣医師 岸川由佳さん)
「モニターしながら、よく様子を見させてもらいますね」

(飼い主)
「ありがとうございました」

ペットとその家族に寄り添う由佳先生。その診察に終わりはありません。

(獣医師 岸川由佳さん)
「必要としてくれてる患者さんや、助けを求めている患者さんに、一人でも多く、できるだけ寄り添っていきたいなって思っていますね。だから多分ゴールがないんだと思います」

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年4月11日放送)

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