【異変】南方の魚がごっそり網に!?一方で静岡の魚は記録的不漁…いま海で起きている現象その原因とは
これまであまり獲れることのなかった魚が次々と網にかかる一方で、ある静岡の海の幸は記録的な不漁に…いま、海で起きている異変とは?
こちらは伊東市の富戸漁港。早朝、船に乗り向かったのは、港から200メートルほど沖に設置された定置網です。漁師たちが網を引き揚げると、イサキやアジ、カマスなどが飛び跳ねていました。その中をよくみると・・・暖かい海に多い「シイラ」、沖縄などでよく見る「ハナミノカサゴ」など見慣れない魚の数々に、定置網の関係者は。
Qこの魚はどこにいる魚?
(定置網の関係者)
「西のほうがメインで、九州や四国で元々漁獲量が多かった魚。この辺りでは少しは捕れていたけど、そんなに捕れない、ことしはすごく多い」
本来は、この辺りではあまり獲れることがなかった魚。ひと昔前に比べ、日に日に、網に入ることが多くなってきたといいます。
(定置網の関係者)
「(南方の魚が)いるのが当たり前になってきている、10~15年前はこんなの捕れたことがないというのが年に何回かあった」「北海道でブリが捕れるなど、今までなかったようなことが起きているように、全体的に北側に漁場が広がっている」
一方こちらは、県内でも有数のシラス水揚げ量を誇る吉田漁港。8日も、日の出を合図に、約50隻の漁船が一斉にシラス漁へと出港しました。ここ吉田漁港では、例年、平均1300トンの水揚げがあったシラス漁。多い年は2000トンにも及ぶ漁獲量があったといいますが、2023年は、10月末の時点で564トンにとどまり、記録的な不漁に。2023年のシラス漁について、仲買人は。
( 仲買人)
「だいぶ量が減って困っている、新鮮なものが買えてよかった。原料費も上がっているのでいかに安く客に出せるか・・」
「今日は買っていない。値段が高いから、小売りにしても儲けが出ない」
激減したシラスの水揚げ量。記録的な不漁の影響は、地元の直売所にも広がっています。ここは、釜揚げシラスのほか、獲れたての生シラスも販売する、人気の直売所。販売している商品の約8割がシラスとあって、苦しい状況が続いています。
(カネタ田嶋商店 田嶋 敏正 代表取締役)
「(販売を)工夫したいけど、ここにきて何をやたらいいのかもわからない、量がちょっとでも増えてくれるのを祈るしかない」
店のメイン商品として取り扱う”釜揚げしらす”は、8月に1キロ当たり500円の値上げに踏み切りました。
(カネタ田嶋商店 田嶋 敏正 代表取締役)
「量が少ないので、みなさん欲しい欲しいと、うなぎ上りに仕入れ値が上がっていく感じ」「値段を見て、ちょっと高いねと、頑張ってきたけど(値段を)上げざるを得なくなった」
2024年1月中旬まで続くシラス漁ですが、まだまだ厳しい状況は続きそうだということです。このように、海で獲れる魚に大きな影響がでていますが、そもそも、いま、海では何が起こっているのでしょうか。専門家に聞きました。
(海洋研究開発機構 美山 透 主任研究員)
「2017年ごろから静岡県では黒潮大蛇行という海流の変化が起こっている」
南から暖流が流れこむ”黒潮”。ここ6年以上、この”黒潮”の流れが大きく蛇行して東海付近に流れ込んでいます。
(海洋研究開発機構 美山 透 主任研究員)
「黒潮大蛇行が発生すると、東海沿岸から関東にかけて黒潮が近づくので、水温が高くなるという現象が発生する」
また、地球温暖化や夏の猛暑などの影響でも、海水の温度が上昇しているといいます。特にに9月は、駿河湾などの静岡県沿岸では過去30年の平均に比べ、2度から3度、海水の表面温度が上昇しているということです。
(海洋研究開発機構 美山 透 主任研究員)
「ことしは特に夏の気温が高かったので、過去最高の水温になっている」「全国的にそうだが、気象庁の観測史上、静岡県付近でも過去一番の水温になっている」