増える書店のないマチ 移動販売で本を提供 日本酒を試飲できる車も 新ビジネス続々 北海道
コロナ禍以降「キッチンカー」などの移動販売が急増していますが、いまや移動販売を行うのは食品だけではありません。
様々な商品が売られるユニークな移動販売の魅力に迫ります。
真剣に本を選ぶ子どもたちにも大人気のこちらの本屋さん。
実は、店舗を持たず本棚を乗せたワゴン車でお店を開く移動書店です。
まるで秘密基地のような店内の「いどうほんやKOKO」は、キッチンカーなどと並んで北海道各地のイベントなどに出店しています。
「いどうほんやKOKO」は、書店のある街を残したいという思いから去年4月に生まれました。
(いどうほんやKOKO 平塚真実さん)「車のこういう形態のものは珍しいので喜んでくださる方も多いですし、そこにたまたま本屋さんがある場面を作りたくて」
店舗を構える書店と比べてお店のサイズは小さめです。
それでも平塚さんが選んだ絵本や辞典などは訪れた人をひきつけます。
(記者)「絵本は好きですか?」
(客)「うん」
(客)「いい試みだと思います。古本も置いていたし、すごく面白かったです」
(客)「普段本屋さんで見ないような本とかがあったので楽しく見ていました」
全国的に書店のないマチが増える中、平塚さんは本を手に取ることができる「本屋」が持つ価値をこう話します。
(いどうほんやKOKO 平塚真実さん)「本があるだけで(人が)集まってきてくれて。本屋さんがないのが普通にならないといいな」
場所に縛られない移動販売という形の書店が、本と人とをつないでいました。
一方こちらは、蔵に直接出向いて買い付けているこだわりの日本酒が並ぶ札幌市内の酒屋。
そんな酒屋が今年から移動販売を始めました。
その名も「SAKE TRUCK」!
イベントなどではバーとして出店し、日本酒などを提供しています。
9月に道内で開催された体験型観光ツアーの商談会にも参加。
世界中から訪れたおよそ800人に、道内で作られた日本酒の魅力を伝えていました。
「SAKE TRUCK」の使い道はこれだけではありません。
冷蔵設備が整った「SAKE TRUCK」が飲食店などに出向いて、酒を試飲してもらう営業車としても活躍しています。
鮮度を保ったお酒を実際に飲んでもらい、料理との相性を確かめることが重要だといいます。
お店おすすめのお酒を試飲させてもらいました。
市内ではここでしか買えないという日本酒のお味はー
(鷲見記者)「口に入れた瞬間はまろやかな甘みがくるんですけど、そのあとに華やかな香りが鼻を抜けていきます」
新鮮な一番おいしい状態のお酒を飲んでもらい販売につなげようと、トラックを使った移動販売を始めました。
(銘酒の裕多加 熊田カリンさん)「札幌本店は分かりにくい場所にありまして、わざわざここまで来ていただくのが大変な方もたくさんいるので、私たちが出前に行くことができるトラックを作りました」
様々な場所に出向くことができる移動販売。
場所という制約を取り払って、新たなビジネスチャンスが生まれようとしています。