リアル「教場」 厳しい規律と団体行動 警察学校の訓練に密着 北海道
警察官としての教養を身につけるため、必ず入らなければならない場所が警察学校です。
そこに、警察学校の門をたたいたひとりの男性がいました。
憧れていた警察官。
警察学校での生活を密着しました。
厳しい規律と訓練 警察学校に入校
2023年10月。
力強い声とともに不安が入り混じる49人が北海道警察学校に入校しました。
現場に出る前の新人警察官として厳しい訓練を受けていくことになります。
警察学校の門をたたいたひとりの男性。
北海道警察学校・初任科・第250期、種田光巡査です。
入校式前。
新しくなった警察学校に、初めてカメラが潜入していました。
大きな荷物を背負ってきたのは種田巡査。
書類の提出などを行っていると、いきなり警察官としての厳しさを目の当たりにします。
(教官)「いまメモを出すのにどれくらいかかった?」
(種田巡査)「10秒近くは…」
(教官)「いつどんな指示があるかわからない。すぐにメモできるようにしておけ」
(種田巡査)「はい」
(教官)「メモはどこにしまわないといけないんだ」
(種田巡査)「ポケットです」
(教官)「ポケットですぐに出せるようにしておけ。筆記具もな」
(種田巡査)「気持ちは作ってきたつもりだったが、まだ足りなかったなと実感しました」
こうして、規律を徹底的に正していく警察学校での生活がスタートしました。
朝食は5分程度 10人で団体行動
(チャイム)「おはようございます。6時30分になりましたので起床してください」
起床は毎日6時30分。
その後、全体で点呼を行います。
(点呼)「番号!1、2、3、4、5、6!異常ありません!」
点呼が終わればすぐに朝食です。
250期は大卒以上の10人で行動をともにします。
5分程度の食事も10人そろって終わらせ、授業の準備に向かいます。
学びの場となっているのは、そう、「教場」です。
この250期の10人は、3月まで警察官としての知識や体力を身に着けていきます。
高卒の巡査は1年間で同じことを学ぶのに対し、大卒以上は半年と期間が短いため、個々で勉強や体力づくりをすることが一層求められます。
(種田巡査)「とても疲れました。ランニングはちょっと自信があります。いま思えばもう少しいけたのかなと思っています」
苦手な手錠 団体行動で必要な「通常点検」
警察学校では団体行動をする上で必要な授業があります。
この日は警棒を扱うのも初めて。
服装や携帯品が正しく装備できているか確認をする「通常点検」。
警察官にとって最も基本的な動作です。
この動作を体に染み込ませることで、現場に出た際に機敏な行動がとれ、緊急時でも対応することに活かされます。
今後、班長の前で通常点検を行うことになり、これを10人そろって行うことが目標となりました。
1週間前の授業。
出来て当たり前だと教官は話しますが、種田巡査にとって苦手な動作がありました。
うまく手錠をしまうことができません。
ここまで遅れては規律を乱すことになってしまいます。
(教官)「手錠を後ろに収める動作、苦手な人が多いね。それはしっかり練習して」
(種田巡査)「まだ慣れない部分があるので、練習して頑張りたいと思います」
銀行員からあこがれの警察官へ転身
初めての外泊許可が出て向かったのは、実家でした。
(種田巡査)「ただいま」
(母 まゆみさん)「おかえりなさい。お疲れさん。久しぶり」
晩ご飯は、母・まゆみさんが作る大好物のスパゲッティです。
(種田巡査)「おいしいわ」
(母 まゆみさん)「よかった」
日々の厳しい訓練から解放され、種田巡査から普通の息子に戻る時間でした。
(母 まゆみさん)「(採用に)受かったときはとっても嬉しかった。本当に。一緒に泣いたもん」
種田巡査は現在27歳。
前職は銀行員として働いていました。
年齢的にもこれからという時期に、なぜ警察官を目指したのでしょうか。
(種田巡査)「自分が幼少期のころに警察官に助けてもらったことがあり、そのときの警察官の姿を見てそのような警察官になりたいと思い、目指すきっかけとなりました」
一度は就職しましたが、警察官になりたいという思いがさらに強くなりました。
まゆみさんもずっと悩んでいる息子の姿をそばで見ていました。
(母 まゆみさん)「子どものころから漠然と憧れてテレビでも見ていたし。大学決めるときから悩んでたんだ。警察になるにはどの大学にいったらいいかとか話していたよね。どんな仕事も大変。でも自分で決めた仕事だから貫いて(試験も)頑張ったし、その気持ちを持って成長してもらえたらなと思う」
班長の前で「通常点検」 訓練の成果は…
班長の前で通常点検を行う日。
苦手な動作があった種田巡査に緊張が走ります。
種田巡査が苦手としていた手錠をしまう動作。
スムーズにできました。
まだまだ上達する余地はあるという班長の評価だったものの、入校しての3か月は充実した生活を送ることができました。
(種田巡査)「最初はびっくりして、これからやっていけるのかなと思った点もあるが、いまは同期のみんなと支えあいながら学校生活を送っていますし、教官の方々も時には優しく時には厳しく接していただいているので、これから頑張っていきたいなと思います」
「道民に頼られる警察官になりたい」と話す種田巡査。
規律を正す「教場」での厳しい訓練は、あすも続いていきます。