次々詳らかに震撼の「証言」父・修被告出廷「警察に突き出したら娘がもっと壊れる」すすきの殺人
(宮永キャスター)「すすきののホテル殺害事件、母親の浩子被告の2回目の公判が始まります。きょうは法廷に父親が証人として出廷。異常ともいえるいびつな家庭環境について、何を語るのでしょうか」
2023年7月、札幌・すすきののホテル客室から62歳の男性の遺体が頭部のない状態で見つかるという凄惨な事件。
この事件で逮捕・起訴されたのは、田村瑠奈被告と父親の修被告、そして母親の浩子被告の一家3人です。
起訴状などによりますと、浩子被告は娘の瑠奈被告が殺害し切断した当時62歳の男性の頭部を自宅に隠すことを認めるなどした、死体遺棄ほう助などの罪に問われています。
2024年7月1日に開かれた、浩子被告の2回目の裁判。
まっすぐに前を見据えて法廷に姿を現したのは、父親の修被告です。
(田村修被告)「言葉ではとても言い表せない、取り返しのつかないことになってしまい申し訳ない気持ちです」
冒頭このように述べると、弁護側からの質問が続きました。
(弁護人)「(被害男性の)頭部を置いていいと言ったことはあるか?」
(田村修被告)「ありません」
(弁護人)「頭部を切断したと具体的に聞いたことはあるか?」
(田村修被告)「ありません。7月2日の夕方、報道に出た。この事件を娘が起こしたと、その時点でつながった」
検察側から読み上げられた、これまでの修被告の供述調書にも、妻とのやりとりで「首みたいなものを持ってきたけど、まさかね」と言い合っていたということです。
なぜ警察に通報しなかったのかと問われるとー
(田村修被告)「警察に突き出したら、娘がいまでも苦しんでいるのにもっと壊れてしまう。追い詰めたくない」
6月の浩子被告の初公判でも語られた“娘ファースト”のいびつな家族関係。
(田村浩子被告)「容認は違います。娘の犯行を止めたかったが、止められなかった」
このように語った浩子被告は「とても耐えられない状況でした」と涙ながらに起訴内容を否認していました。
瑠奈被告が浩子被告に書かせたという誓約書にはー
「お嬢さん(瑠奈被告)の時間を無駄にするな」
「私は奴隷です」
「立場をわきまえて無駄なお金を使うな」
これをテレビ画面の目立つところに掲示。
浩子被告は奴隷のように扱われても反論したりせずに、瑠奈被告の言うことに従っていました。
修被告も、瑠奈被告から「ドライバーさん」と呼ばれるなど「瑠奈被告ファースト」の親子関係が形成され、修被告は瑠奈被告の精神状態を心配するようになっていきました。
1日の裁判で修被告はー
(田村修被告)「10年ほど前から、瑠奈と呼ぶと『その子は死んだ』『その名前で呼ばないで』などと言うようになった」
娘を「瑠奈」と呼ぶと取り乱すようになってしまい、一般的な親としての振る舞いが難しくなったということです。
今回、母親の浩子被告は、瑠奈被告から頼まれた頭部を損壊するビデオ撮影を修被告に依頼し、遺体の損壊を手伝ったとされていますが、修被告はなぜ犯行を止めることができなかったのかー
(田村修被告)「記憶があいまいだが、いま思うに、やめなさいと言ってもやるだろうなと。本人をとがめて精神障害を悪化させたくない。どうせ逮捕される」
娘の行動に口出しできない家族関係。
これまで弁護側は、浩子被告の無罪を主張してきました。
修被告本人の口から始めて語られた事件の詳細は、浩子被告の判決にどのような影響を及ぼすのでしょうかー
(元検察官 中村浩士弁護士)「弁護側からすると、瑠奈被告の日頃からの行為、これはもう止めようがなく、刺激することもできず放置しながら見守ること以外何もできなかった。その選択がベストであった。こういうことをクローズアップしていくんだろうと。非常に重要な局面を迎えたと思います」
娘の異常性に気付きながら、何もできなかったと話す修被告。
次回の裁判は8月30日に予定されています。
裁判で徐々に明らかになった3人のいびつな家族関係。
修被告・浩子被告は瑠奈被告を“お嬢さん”と呼び、浩子被告は誓約書を書かされ、奴隷のような扱いをされていたという、瑠奈被告が圧倒的な力を持っていました。
その関係は1日の裁判でも、修被告の言葉の節々からわかります。
・親として振る舞うことができなかった
・瑠奈被告が「辛くて苦しい。自分の首を絞めて殺して」と言った際には「それはできません」と供述
・瑠奈被告が一般的に非常識であっても許容してしまう
・娘が壊れていくのが怖かったと供述しています。
1日の裁判では弁護側からの質問が終わらず、次回8月30日の第3回裁判でも修被告が出廷し、弁護側・検察側からの証人尋問が続きます。