総選挙へ 県内3選挙区を解説「ベテラン無所属に新人3人挑戦」「三つ巴」「閣僚に2人の新人挑む」
10月に行われる見通しとなった総選挙について、大分県内の各選挙区の情勢についてTOSの記者が詳しく解説します。今回の衆院選のポイントはどこにあるのでしょうか?
◆梅田雄一郎記者
石破内閣の発足から8日後という戦後最短での解散となりました。政治とカネの問題をはじめ、物価高騰が続く経済対策などさまざまな問題が争点となる中、石破内閣について国民が審判を下す選挙となりそうです。
各選挙区ごとにみていきます。
大分1区の前職は無所属の吉良州司氏です。
これまで比例復活を含めて当選6回を果たしています。自身の後援会を中心に活動し、立憲民主党県連や国民民主党県連などが支援するほか、連合大分が推薦しています。
議席奪還を目指す自民党は、新人の衛藤博昭氏を擁立しました。
これまでに県議を2期務め、初の国政に挑みます。父親の衛藤晟一参院議員はかつて衆院選で2度、吉良氏に敗れているため「因縁」の対決となりそうす。
さらに12回目の国政選挙に挑む共産党・新人の山下魁氏は防衛費の増大に懸念を示し、福祉や介護に税金を使うべきと訴えています。
ユーチューバーとして活動する参政党・新人の野中しんすけ氏は、しがらみのなさを強調しています。
それでは大分1区をみていきます。
1区は直近の衆院選3回では、吉良氏が2回、自民党候補者が1回当選しています。いずれも当選者は9万票を超えており、投票率にもよりますが、この9万という数字が勝敗の目安となりそうです。
そして今回のポイントは「ベテラン無所属に新人3人が挑む」です。
世襲問題や「裏金問題」などを批判する前職の吉良さんは無所属ながら立憲民主党や連合大分などが選挙戦を支援します。
一方で新人の衛藤さんは4人の子供を持ち、子育て世代への支援を訴えています。
自民党だけでなく公明党も含めた連立与党による組織戦の展開が予想されます。
また、共産党の山下さんは党の全面支援を受けるとともに選挙経験が豊富で一定の知名度があります。
野中さんはユーチューバーとしてSNSも駆使して支持を訴えます。
続いては大分2区です。
当選13回の大ベテラン、自民党・前職の衛藤征士郎氏は、いわゆる「裏金問題」の影響でかつてない逆風での選挙戦となります。
前回、衛藤氏と654票差の大激戦を演じたのが立憲民主党・前職の吉川元氏です。
過去4回の当選はすべて比例復活。小選挙区の当選が悲願です。
2人の戦いに割って入るのが、無所属・新人の広瀬建氏です。
父は2023年まで5期20年間知事を務めた広瀬勝貞氏です。
2区のポイントは「三つ巴」です。
与野党の争いが広瀬氏によって今回はがらりと変わることになります。
広瀬さんは、自民党の公認を得られず、無所属での出馬となり、保守分裂選挙となる見込みです。
こうした中で、衛藤さんがベテランの意地を見せるのか、吉川さんが悲願を果たすのか、新人の広瀬さんが前職2人を破ることができるのか注目です。
また2区は、面積が県内のおよそ半分を占める広大な選挙区です。短い選挙戦の中でいかに支持を広げられるのか候補者の戦いぶりもポイントで、県内一の激戦区となりそうです。
続いては、大分3区です。
10月発足した石破内閣で外務大臣として入閣した自民党・前職の岩屋毅氏。
当選9回を誇るベテランで、今回は閣僚として選挙戦に臨むことになります。
立憲民主党から出馬するのは元由布市議の小林華弥子氏です。
かつて岩屋氏と争った横光克彦氏の後継候補をアピールし、知名度の浸透を図っています。
共産党から出馬する大塚光義氏は、医療や介護などの充実や、消費税の減税など暮らしの問題を訴えています。
3区のポイントは「外務大臣vs新人2人」です。
過去2回は岩屋さんと横光さんの一騎打ちでいずれも岩屋さんが勝利しました。
横光さんが引退したため、今回、立憲民主党は小林さんを擁立しました。
また、過去2回は候補者を擁立していなかった共産党からは「立憲民主党とは野党共闘できない」と大塚さんが出馬しました。
岩屋さんが大臣として注目を浴びる中、新人2人がどこまで有権者に浸透できるかがカギとなります。