能登半島地震から1年 信州のソウルフード、石川発の「ビタミンちくわ」 食を通じた被災地へのエール今も…
去年の元日に発生した能登半島地震から1年。
大町市では、“食べて”被災地を応援しようという取り組みが行われています。
信州のソウルフードとも言える石川県で作られている“アノ”食べ物です。
稲葉キャスター
「私の目の前にある、ホットサンド!中に何が入っているか、皆さん分かりますか?丸い穴が開いたもの、それは…ちくわ!斑点模様が特徴のビタミンちくわです!」
大町市の市立大町山岳博物館。併設されたカフェでは、1月末までの期間限定で「ビタミンちくわ」が入ったホットサンドが提供されています。
cafeかもしか 長谷川陽子さん
「ちくわらしさを出したかったので、ちくわの穴がそのまま見える、断面で見えるようにっていうのは最初にひらめいた感じですね」
挟むのは、ちくわと相性のいいチーズと大葉とのり。調味料は一切使わない、ちくわが主役のホットサンドです。
稲葉キャスター
「チーズの塩気と大葉の風味、そして、ちくわのうま味が良く合います。またパンとの相性もばっちりです!この組み合わせ、意外でした!」
1年前の元日。
能登半島で最大震度7の揺れを観測する大地震が発生。死者は500人近くに上りました。
能登半島の中央に位置する石川県七尾市。ここに70年以上前からビタミンちくわを作り続けている、 「スギヨ」の工場があります。
かつて海がない長野県民にとって、魚のすり身を使用するちくわは貴重な食材でした。鮮度を保つため、ちくわの穴に塩を入れ木箱に詰めて運んだちくわは、信州で大ヒット!
現在は1日10万本が生産され、実にその7割が長野県内で流通しています。
スギヨ管理本部 臼池忠幸本部長
「ここはですね、ちくわの形成場になります。地震の時に天井がガサっと落ちたんですけど、設備の上にど~んと乗っかっているだけで、実は全部(天井が)落ちてる」
工場も地震で大きな被害を受け、ちくわは、生産停止に追い込まれました。
そんな時、スギヨに届いたのが、長野県民からのたくさんのメッセージでした。
「子供のころから当たり前に食べてきた長野県のソウルフードなので、他のちくわでは代わりにならないのです。早期の復興を祈念いたします」
「スギヨの製品を買う。こんなことでしか応援できませんが心から復興をお祈りいたします」
去年5月、工場はようやく再開。
稲葉キャスター
「工場内はなんとも言えない甘く香ばしい香りに包まれています。そして物凄い熱風を感じます。こちらではちくわの形に整えられたすり身が焼かれています」
この日、5か月ぶりに信州に帰ってきたビタミンちくわ。
店員
「いらっしゃいませ~スギヨのビタミンちくわ復活しました~どうぞ、ご利用くださ~い」
社員も店頭に立ちました。
社員
「長野県の方にたくさんお待たせしてしまったので、直接お礼を言いたいなと思って(七尾市から)来たんです」
客は
「そう、欠かせないです!絶対に!うれしかったです」
生産を再開してからの3か月間、出荷量は、例年を大きく上回る勢いでした。
スギヨ広報・水越優美さん
「(生産を休んでいたら)忘れられちゃうだろうなっていう風に思ってたんですけど、皆さん沢山買ってくださっていて、例年と比べると1.5倍くらいになってます」
能登半島地震から1年。
大町市役所 地域振興部まちづくり産業課 金原徹 主任
「大町市なんですけれども、黒部ダムの建設当時からですね。建設現場の方が週一でビタミンちくわ入りのカレーをよく食べられたというところから、ビタミンちくわと黒部ダムと、大町市の関係が築かれてきて」
学校の給食メニューにも登場するなどビタミンちくわと特に縁が深い大町市。
その大町で、今月いっぱい行われているのが食べることで被災地を応援しようという、「ビタミンちくわフェア」です。
市内の15の飲食店が参加、それぞれの店でちくわを使ったオリジナルメニューを提供しています。
■がんばりや食堂
ラーメンが人気の食堂では、2つのメニューを考案しました。
こちらは、ちくわの丼。
玉ねぎと一緒に卵でとじました。
稲葉キャスター
「ちくわのうま味が加わって、お出汁がとっても美味しいです。深みがでますね」
そして、ラーメンと一緒に食べてほしいと誕生したのが…
皮の代わりにちくわを使った餃子。
がんばりや食堂 奥田加奈子さん
「餃子の具をちくわに入れたらどうなんだろう?というところで開発してきました」
中には、豚肉のひき肉にキャベツとニラ、ニンニクを利かせた一品です。
稲葉キャスター
「物すごく大きいんですよ~お箸で持つとずっしりしています。口の中に肉汁がジュワ~っと広がります。そしてニンニクが効いてますね。また、餃子の皮と違ってちくわに厚みがあるので物凄く食べ応えがあります」
家庭でも手軽に作れるメニューです。
がんばりや食堂 奥田加奈子さん
「餃子の具って、各ご家庭で味付けが違うと思うんですけど、それを餃子の皮でなくって、ビタミンちくわの中に入れていただいて、皆さんに沢山食べていただいて。能登半島の復興支援に繋がればと思っております」
信州のソウルフード、石川発のビタミンちくわ。
食を通じた被災地へのエールが今も送られています。