長野市清野小学校138年の歴史に幕 「最後の1年を最高の1年に」全校児童22人 地域の住民と共に歩んだ1年に密着
特集です。
児童数の減少により、今年度で閉校する長野市松代町の清野小学校。先週、22人の児童が巣立ちの時を迎え、138年続いた学校の歴史に幕を下ろしました。閉校が児童や地域の人にもたらしたものとは?
「令和6年度卒業生7名」「はい!」
3月18日、清野小学校で開かれた最後の卒業式。7人の卒業生をはじめ、15人の下級生、地域の人々が思い出の学びやに別れを告げました。
去年4月、6年生と手をつないで入場した清野小最後の新入生。今年度、4人が加わりましたが、全校児童は22人。
学年の垣根がなく、仲の良さが自慢の小学校ですが、「より多くの子どもと学んでほしい」という保護者の要望で、おととし、2キロ離れた松代小学校への統合が決まりました。閉校の話を聞いた児童は…。
去年7月
6年生
「閉校させようとした人に、何でですかって聞きたいくらい。圧をかけたかった」
閉校に対する怒り。ところが、その心を、ある「もの」が前向きに変化させました。閉校までの1年でやりたいことを書いた「リスト」です。
小林和子校長
「できるだけ子どもたちが、自分たちで考えて、自分たちでやったという思いを残したいなというふうに思っていて」
6年生(当時5年生)
「やりたいと思っていることを現実にできるというので、やったー!って」
この「やりたいことリスト」を原動力に、掲げたスローガンは、「最後の1年を最高の1年に」。
ここから大人たちを巻き込んだ清野小の歴史で最も濃い1年が始まりました。そのリストの一つが…。
去年8月 プロレス
体育館がプロレス会場と化した地区の夏祭り。これまで地区内の3つの公民館がバラバラで行っていた祭りを合同で開催し、初めて学校が会場となりました。言い出したのは、6年生の児童でした。
6年生
「仲のいい友達とみんなで回りたいみたいなことができなくて、それで地域の人もいたら楽しいなと思ったので」
児童の発案により、地域が一つにまとまった一方…。
清野合同夏祭り実行委員長 池田茂美さん
「(閉校を)真摯に受け止めている。それまで自分たちが(子どもに)行えなかったことがあるわけじゃないですか。それができなかったことに対しての責任感というのが多少なりともある」
考えさせられたのは地域への関わり方でした。迎えた閉校の日。一足先に到着したのは卒業生です。
6年生
「似合う!髪型かわいい!」
真新しい制服に浮足立つ中、卒業式後の閉校式で児童代表の言葉を任された児童会長の阿部希海さんは…
児童会長 阿部希海さん
「一年間を振り返ってすごく早かったなって思って。みんなの気持ちを精いっぱい伝えられればいいかなと」
最後の日を見届けようと、会場には地域の人たちも駆けつけていました。
卒業生
「本当に泣けます。これで終わっちゃうんだもんね…」
多くの人が見守る中、式では1年生から5年生にも学校を修了した証、修了証書を授与。いよいよ、希海さんの児童代表の言葉です。
児童会長 阿部希海さん
「思い返すと清野小学校の閉校が決まってからの一年間、本当にたくさんのことがありました。運動会では地域の皆さん、卒業生の皆さんと一緒にさまざまな行事を楽しみ、閉校記念式典では一緒に清野小かるたをしたり、たくさん交流することができました」
振り返ったのは、地域の人との思い出。自分たちを支えてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えました。
校歌斉唱
学校で歌う校歌もこれが最後。
小林和子校長が市の丸山陽一教育長に校旗を返還し、清野小、138年の歴史に幕が下りました。
卒業する6年生の教室です。最後に学級担任が一人一人にメッセージを読み上げました。
6年生担任 岸田園先生
「自分の道を堂々と歩いてください。自分を大切にたまに私はこうと押し切ってしまっても大丈夫。律花さんの笑顔が一層輝くように応援しています」
全員が昇降口に集まりお別れの時です。
児童
「ちょっと待ったー!」
「清野小学校にも卒業証書をあげたらいいと思います」
最後の最後に子どもたちが用意したのは学校への卒業証書。最初は閉校に納得できなかった児童たち。最後の瞬間、その表情は笑顔にあふれていました。
Q思い出は?
1年生
「いろいろ遊んだりしたり、勉強で漢字とかをいろいろ覚えた」
6年生
「自分ができる限りのことをしたので悔いなく卒業できました」
6年生
「人数は少なかったですけど、その分みんなの仲が分かる最高の学校だと思うので、その時につくった友達を大事にしていきたいなと思います。
Q友達のこと好き?
「大好きです」
22人が最高の仲間と過ごした最後の1年間。チェックマークの入ったやりたいことリストが子どもたちの達成感を物語っています。
小林和子校長
「一生忘れられない一年だったなって」
「いつか大人になって、今度は清野を盛り上げる人になってもらいたいな。ちょっと先だけど、そんなことを思っています」
児童
「ではこれで本当に最後です。せーの、ありがとう清野小学校!」