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東日本大震災14年 復興事業が来年度末で終了する影響

2025年3月25日 9:53
東日本大震災14年 復興事業が来年度末で終了する影響

東日本大震災の課題について考えるシリーズです。
2回目は復興事業が来年度末で終了する影響について遠藤記者が取材しました。

東日本大震災の被災者を受け入れている災害公営住宅。4年前県内では最後に整備された盛岡市の南青山アパートでことし1月、餅つきと餅のお振舞がありました。主催したのは南青山アパートに入居している被災者を支えているもりおか復興支援センターです。

もりおか復興支援センター金野万里センター長
「生姜餅をお振舞したいと思います。とても体が温まります生姜が入っていてお楽しみくださいよろしくお願いします。いろいろなものを津波、震災で失ったうえに地域のつながりも失って避難してきた方々なのである日突然予期しなかった変化があったということでただ14年、15年経って高齢化してしまったとか身体の不調があるという一般の課題とは違う突然に 想定していなかった過程の形の変化があるんですよね」

震災でコミュニティーを失ってしまった人たちを支えてきたのがもりおか復興支援センターがアパートの一角で運営している青山コミュニティー番屋のスタッフです。

もりおか復興支援センター 藤澤久美子さん
「支援者側としてはやっぱり終わりではないんですけど、どんどん時間も経っていくので解決に結びついているかなと震災の喪失感とか徐々にでも和らいでいるのかと思っていたところ、悩み自体は急には減らなんだなという状況ですね」

しかし、もりおか復興支援センターは国の復興事業の縮小で来年3月いっぱいで事業を終えることになりました。

盛岡市は震災の年から盛岡に避難した人を対象にしたアンケートをしています。今年度の結果でももりおか復興支援センターを今後も利用したいという人は4分の3以上に上っています。佐々正弘さんは釜石で被災し家を失って南青山アパートに入居しました。

佐々正弘さん(77)
「(南青山アパートに入居している人は)家族がほとんど二人か一人しかいない何かあれば相談するところがないたまたま家族が近くにいて来てくれる人もいると思いますが、だからいざというときには番屋さんしかいないそういうふうに今までやってきましたので今 ポンと切られれば大変だろうなという感じはします」
妻 順子さん(78)
「『隣の人は何する人ぞ』で部屋に入ってしまってドアを閉めるとわからない部屋番はわかるけど順番に来るからでも中にいる人はわからないという感じ」
正弘さん
「ここ(番屋)をなくしてしまえばそういう状態ではっきり言って孤独死はかなり増えるでしょうね」

被災地でも県と県社会福祉協議会から市町村の社会福祉協議会に配置された生活支援相談員が被災者の家々を回って生活の状況を確かめたり、困りごとを聞くなどしてともすれば孤立しがちな被災者を支えてきました。

県社会福祉協議会は、4年に一度、被災者の実態調査を行っていて今年度は2570人を対象に調査し1337人から回答を得て回収率は52パーセントでした。このうち家族については1人暮らしが45.8パーセント2人暮らしが28.6パーセントで合わせると4分の3近くの世帯が二人以下で暮らしていました。

困った時に家族以外で相談できる人は友人・知人が最も多く40.5パーセント次いで生活支援相談員の29.7パーセントで60.4パーセントの人が自宅への訪問が役立ったと答えています。

東日本大震災被災者実態調査研究委員会委員長 東北福祉大学 田中 尚教授
「全国的に見ても被災地に限らず孤立死問題というのは深刻度を増していますが、救急車を要請するようなことがたまたまできたとか気になるような情報を早期から伺っていてそれとなくきちっと見守りをすることで重大な事態に至らなかったということを聞いていますので、そういう意味では非常に訪問型の支援は意義は大きいのではないかと思います」

生活支援相談員の支援を必要とする人はまだまだいますが国の復興事業縮小に伴って生活支援相談員も来年3月いっぱいで廃止されてしまいます。

岩手県社会福祉協議会地域福祉企画部 楢木英裕部長
「どういう形になるのか県も含めて関わって頂いている団体の方々も含めて色々な良い形が作れればいいと思っているので、そこに向けて様々検討を進めていきたいと思っています」

今年1月11日現在、盛岡市の南青山アパートには94世帯177人が入居しています。こちらでは地区の町内会や岩手大学、県立大学の学生との交流を通して地域を元気にしようとしています。

岩手大学三陸委員会
「ここよりがんばってきましたのでぜひ食べておいしく食べてください。がんばって餅をついたのといろいろありましたけどすっごい楽しかったです」

金野万里さん
「学生さんたちの力って本当に大きくて高齢者にとっては孫のようなもので明るく笑顔が出てきますし、様々なアイデアが生まれてくるのと何よりパワーがあるので引っ張っていただくことができています。南青山であればアパート内だけじゃなくて周辺の地域の方々そこには子どもたちも結構いて、子どもたちも学生さんたちって私たちよりもずっと年がお子さんたちと近いので地域の方々と結びつける糊のような役割というか、そういうことにもつながっていると思っています 力を頂いています」

もりおか復興支援センターや生活支援相談員はこれまで被災した方たちの心の支えとなってきました。今後その役割をどう補っていくか。行政など関係機関は考えていかなければなりません。

最終更新日:2025年3月25日 9:53
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