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【東日本大震災から14年】岩手の災害公営住宅の課題は 阪神淡路大震災の現状から考えるコミュニティーづくり 

2025年3月14日 20:30
【東日本大震災から14年】岩手の災害公営住宅の課題は 阪神淡路大震災の現状から考えるコミュニティーづくり 

東日本大震災14年の今もコミュ二ティー作りへの課題が残る災害公営住宅。発生から30年が過ぎた阪神淡路大震災の災害公営住宅の現状から、これからのコミュ二ティ作りを考えます。

【大船渡市の災害公営住宅】
小澤利宏さん
「何で(ゴミを)敷地内で投げる(捨てる)かなというのが」

小澤利宏さん(78)は、自らの住む団地の清掃活動を毎週1人で行っています。

大船渡市に整備された災害公営住宅「長谷堂東団地」。53戸に50世帯が入居していて、完成当初から住む人のほか、2023年に入居した小澤さんのように被災者以外の一般募集で入居した人も暮らしています。

小澤利宏さん
「駐車場が空いているわけですよところがお金を毎月1000円払って止めている人とただ空いてるからと止めている人と二組ある。住民間でトラブルになった」

住民間でルールが守られないのは、人と人のつながりに原因があると感じています。

小澤利宏さん
「コミュ二ティーがないからお互いに注意しあうとかお互いに心配しあうとかそういう意識が少ないと思うんですね」「どうしても寄せ集め人がいろんなところから来ているから、だれがどこに住んでいるかがわからない。もし苦しんでいるとか(一人で)亡くなっている方が1週間とは10日とか1か月放置される危険性もある」

被災地のコミュ二ティー作りは2016年度から国も支援して取り組まれてきました。しかし、岩手県内の災害公営住宅ではコミュ二ティー作りへの課題が色濃く残っていて、入居開始から10年が経ったこの団地でも人のつながりは希薄なままです。

【兵庫県神戸市】
阪神淡路大震災の被災地兵庫県神戸市。同じ被災地特有の課題を抱えながら、積極的にコミュ二ティ作りを行う場所があります。

吉岡伸剛キャスター
「阪神淡路大震災から3年後の1998年に整備されたHAT神戸です。スケールの大きさに圧倒されます」

【HAT神戸】
神戸の復興のシンボルとして街びらきをした「HAT神戸」。復興住宅街として市内最大規模の3500戸が整備されました。

ラジオ体操

参加者
「復興のためにラジオ体操でみんなで集まって頑張ろうと始めた。それが今も続いている」

参加者
「昭和3年5月3日生まれ3年したら100歳」

一見、いまは人と人がつながっているように見えますが、街びらきの当初から岩手と同じような課題を抱えていました。

自治会長歴17年川畑幸夫さん(82)
「みんないろんなところから来た人ばかりだったからまとまりが全然なかった」

「HAT神戸」も、もともとつながりのない被災者が生活再建への不安を抱えながら過ごしてきた場所。4年前に、行政からの被災者への支援も終了し、住民に不安が募る中、中心となってまちづくりに力を尽くしている人がいます。

神戸市出身のシンガーソングライター石田裕之さん。10年前「HAT神戸」に移り住み、4年前から、地区のまちづくりに携わっています。

地区のまちづくり協議会 石田裕之委員長
「震災でつらい思いをしたとか、大変な思いをしたとか、大変な経験をされて来たとか、バラバラのコミュ二ティになって寂しさを抱えているとか、いろいろな背景があるんだろうと考えると放っておけないというのはあります」「震災30年経つと子どもたちに阪神を自分事として考えてもらうのは難しい。次の災害のことを考えると大切なものを守る。何を守りたいのか考えてもらおうと」

震災をきっかけに集まった人が暮らす場所だからこそ、震災を通して人と人がつながれることを目指しています。

石田裕之さん
「大きな地震、どうすればいいまずは身を守って~みんなで防災じゃんけんぽん」

「子どもが主役になれるまちづくりをしようと考えてやっている。最初の地域との関りを作ることによって知らず知らず地域活動に関わっていて,
全部の世代が関われるようなそういう仕掛けが出来たらよい」

自治会長の川畑幸夫さん
「他の人も石田さんがいるお陰でつられて動いてくれる。なかなかこういう方いないと思うよ。惚れてますねん」

【大船渡市の災害公営住宅】
大船渡市の災害公営住宅に住む小澤利宏さん。

入居して以降、団地会の会長として人間関係の希薄さから生じるトラブルに対応してきました。

行政から委託を受けたアドバイザーに助けを求めながら、団地内のルール作りに取り組み、住民が過ごしやすくなるような環境整備に取り組んできました。

しかし、厳しい現実を突きつけられています。

小澤利宏さん
「助けてくれる団体がいればお願いしますよ。その団体がすべてなくなってし まった時に再来年度からどうすればいい」

国の支援のもと、2016年度から行われてきた、被災世帯の見守り活動や災害公営住宅のコミュ二ティ作りの支援事業は第2期復創生期間の終了と共に来年の3月で終了する見通しです。

県内の被災地のコミュ二ティ作りを支援してきた船戸義和さんは、住民だけでの自立は難しいと話します。

岩手大学 船戸義和客員准教授
「震災当初はやはり被災者の自立は大きく取り上げられていて、それを目指してきたところはある。自立はひと言で求めるのは難しい状況は各所で見えている。その意味では自立ではなく、支援者と行政がともに立つ共立というともに立っていくという状況を作る必要性がある」

最終更新日:2025年3月14日 20:30