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【311円のラーメン】東日本大震災から14年 毎年3月11日に311円でラーメン提供 一杯のラーメンに込められた思いとは 岩手県宮古市

2025年3月10日 19:12
【311円のラーメン】東日本大震災から14年 毎年3月11日に311円でラーメン提供 一杯のラーメンに込められた思いとは 岩手県宮古市
 東日本大震災から11日で14年です。毎年3月11日に、311円でラーメンを販売している店が、岩手県宮古市にあります。一杯のラーメンに込められた思いを取材しました。

 震災後、ラーメンを作ることで生きる希望を見出した人がいます。

「いらっしゃいませ!どうぞ、こんにちは」「お待ちどうさまでした。ごゆっくりしてください」

 宮古市でラーメン店を営む大久保久枝(おおくぼ・ひさえ)さん。3月11日にあわせて311円でラーメンを販売します。

 「お待たせしました。昔ながらの中華そばです」

 震災10年を迎えた4年前から始めた取り組みです。売り上げは全額、被災地の復興のために寄付しています。

【住宅跡を案内】
「(変わりましたか?)変わりました。ここにもいっぱいお家があって、ぐるっと、木が生えているあたりにも住宅があって。このあたりになりますね、ここにテナント兼アパートがあって、その2階の部屋に住んでいたので」

 自宅は津波で流されました。父親と弟が亡くなりました。

 大久保久枝さん(58)
「家もなくなったし、人も亡くなったし、辛くていたとき、もうお店は閉めようと思っていたので、なんかもう気持ちが落ちてしまって」

【ラーメン店店内】
店をやめることしか考えられなかった震災直後。

【震災3日後・宮古北高校】
避難所での生活は、、満足な食事もできませんでした。

「缶に入っているご飯とか、パンとか、毎日いただいていたが、その中でふと、初老の男性が『ラーメン食べたい』と一言言った」「その言葉を聞いたときに『あ、ラーメンか』と思ったときに、私の中にもラーメンのイメージが沸き上がってきて」

限られた材料で作り、避難所で炊き出しとして振舞いました。

【当時作ったラーメン】
「トッピングも何もないので、海苔と乾燥したエビとかで作った」

「その日はそれで『あ、よかったな』で終わったが、次の日、避難所の外で知らない女性が立ち止まり、頭を深々と下げたので何だろうと思ったら『きのうはおいしいラーメンをありがとうございました』と話したときに、『ラーメン一杯でこんなに元気になる』…『ラーメン一杯でこんなに明るい気持ちになる』と思ったのが、(店再開の)最大のきっかけで」「温かいラーメンで元気になってもらいたい」

 震災から1か月後、店を再開しました。多くのお客さんが笑顔で帰っていく姿が久枝さんの力になりました。

 店には今、大船渡の山林火災のための募金箱が置かれています。

 客(親子)
「この子は震災の時いなかったが、私も津波を経験しているので、助け合いを大事にするというのを、この子にも教えたいので、そういう気持ちで(募金した)」


 11日で震災から14年。311円のラーメンを通して、久枝さんが伝えたいこととは…

 「東日本大震災のことを風化させないだけではなく、これから今復興しているところへの希望とか、何か一つになってくれたらという気持ちがすごくある。この活動はできれば毎年やっていきたい」

 被災した人たちに希望を・・・。一杯のラーメンに強い思いが込められています。
最終更新日:2025年3月10日 19:12