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女子中学生が熱中症で死亡した事故から1年 山形県内の学校現場での熱中症対策のいま

2024年8月13日 18:55
女子中学生が熱中症で死亡した事故から1年 山形県内の学校現場での熱中症対策のいま

山形県米沢市で去年7月、女子中学生が部活動からの帰宅中に熱中症の疑いで死亡した事故から1年余りが経過しました。学校現場では事故を教訓に、熱中症にさせない、そして、熱中症にならないための対策に取り組んでいます。

去年7月28日。米沢市立第三中学校に通う女子生徒が部活動からの下校中に熱中症の疑いで倒れ、病院に搬送されましたが、その後、死亡しました。

米沢市教育委員会 土屋宏教育長(当時)「無事に帰すことができず言葉もありません。この度は大変申し訳ございませんでした」

県内で去年1年間に熱中症の疑いで病院に搬送された人は合わせて1111人。統計が始まった2008年以降で最も多くなりました。

去年8月には山形市の第十中学校で、グラウンドで体育祭の練習をしていた生徒13人が熱中症の症状を訴え、救急搬送されるなどしました。

相次いだ熱中症事故を教訓に、県は、県内の中学・高校に対し、体育館での集会や部活動で使用するスポットクーラーの設置を進めたほか、米沢市教育委員会はペットボトルや熱中症対策グッズの持ち込みの許可などを新たに進めました。

米沢市立第七中学校では、体育の時間などに定期的に水分を補給することや体を動かす際には交代で日陰での活動も行うといった熱中症対策に取り組んでいます。

生徒「水飲んだり水を浴びて体を冷やす」「こまめに水分補給して熱中症対策をしていきたい」

保健体育 手塚隆之先生「(暑い時は)子どもたちの状態をいつも以上に見るよう心がけている」

授業内容にも工夫を取り入れました。

手塚先生「今まで冬に保健の授業をしていたが、最近は夏に保健の授業を先にして涼しい冬に体育館で活動するなど(授業の)順番を変えている」

年々厳しさを増す「暑さ」。熱中症対策が全国的な課題となっている中、気象庁などが発表しているのが「暑さ指数」です。
暑さ指数は、気温だけでなく湿度、そして地面や建物などから出てくる放射熱。この3つを基に計算され、熱中症を防ぐ指標となります。
この暑さ指数が28以上になると、熱中症にかかりやすいとされ、「厳重警戒」となります。
31以上になると特別な場合以外は運動を中止する「危険」となり、熱中症の危険度を客観的に知ることができます。

米沢市立第七中学校では、始業後の午前10時と下校前の午後3時に校庭で暑さ指数を計測し、教員同士で共有しています。また、活動が行われるそれぞれの教室でも個別に暑さ指数を計測し、熱中症への注意喚起を行っています。

部活動の顧問「(体育館の暑さ指数は)29.8くらいだが室温が35度から落ちない」

渡辺信子教頭「基本、運動はなしでクールダウンの部屋で様子を見て数値が下がったら活動してもいいし部活の内容で判断」「10時段階よりは部活動前の3時に計測して部活動の実施中止など判断する」

部活動終了後は、それぞれの部活でクールダウンの時間を設置。運動で暑くなった体を冷まし、安全に帰宅できるような対策も行っています。また、こちらの学校では独自の対策にも取り組んでいます。

校外安全担当 大内開登先生「子どもたちの住んでいる地域ごとにグループを作り、通学路でどんなところが熱中症になりやすいか通学路の危険個所をマークしてもらった」

長い上り坂や日陰が少ない道など、自分の通学路上で熱中症になりやすいと思う場所、万が一、熱中症になった場合の対応などを生徒同士で話し合いながら熱中症予防に取り組んでいます。

校外安全担当 大内開登先生「田んぼが続く道など周りに民家がないと助けを求められないこともある。どんな場所が危険で自分の通学路ではどうか落とし込めれば子どもたちも興味を持って学んでくれる」

危険個所を把握するとともに生徒たちの熱中症予防の意識も高めていく狙いです。

校外安全担当 大内開登先生「なかなか熱中症となると人ごとのように感じてしまう部分もある。子どもたち自身が危機感を持って自分のこととして捉えてほしい」

渡辺信子教頭「生徒たちにとって充実した活動そして命を守れるよう見極めながら取り組みを行っている。より本格的な夏を迎えるにあたり教職員で周知を図りながら生徒の安全、命を守っていきたい」

熱中症で女子中学生が死亡するという悲惨な事故から1年。
死亡した女子生徒の遺族は、YBCの取材に「娘が亡くなって以降、県や自治体、民間企業などでも熱中症対策が進められていることについては感謝していると伝えたい」と話しています。ことしの夏も厳しい暑さが続いています。命を奪われる危険がある熱中症。改めて、熱中症について知り、適切な予防策を行うことが求められます。