京都市長「4つの懸念は解消されていない」 国側が行った北陸新幹線延伸工事の説明会に反発

京都市の松井孝治市長は28日、国土交通省と鉄道・運輸機構が25日に開いた北陸新幹線の延伸工事をめぐる説明会について、「4つの懸念は現時点では解消されていない」と反発しました。
松井市長は、京都市を縦断する北陸新幹線の延伸区間の「小浜-京都ルート」の工事に関する懸念について、
①地下水などの環境への影響。
②長大なトンネル掘削による膨大に排出された廃棄物をどう処分するのか。京都市にはそれらを処理できる場所がない。
③長期間にわたる工事に使われる工事車両をどのように運搬するのか。京都市に深刻な交通渋滞などの影響が出るのではないか。
④財政負担の問題。国家的事業で莫大な事業費がかかるが、地域に利益が及ぶなら相応の地方負担が求められるはずで、京都市の負担はどの程度になるのか。
の4つを挙げています。
28日の会見で松井市長は「私は説明会には出ていませんが、出席した職員に話を聞きました。国や機構も認めていますが、さらなる継続した説明が必要です。これで終わりではありません。根源的な問題が深く横たわっているので、市民に納得してもらわなければならない。」と説明しました。
説明会の質疑応答については「なぜ質疑応答が表に出ていないのか。実際の質疑応答は非公開だったと聞きました。我々は一度も質疑応答をクローズでやって欲しいと言ったことがありません。このようなことで市民の納得が得られるのでしょうか。我々から見たら地元の自治体の理解を得ようしているのかわからない。」としました。
さらに、松井市長が会見で何度も訴えかけたのが、「感情論で議論すべきではありませんが、京都市と京都府の納得を得ようとしているのか、論破をしようとしているのかわかりません。国側の立場をできるだけ理解しようと思いますが、自治体が4つの懸念を上げているのに解消されていません。国家的な意義はわかりますが、きちんと時間をかけて説得して欲しい。率直に言ってこれは時間がかかるだろうなと思いました。」と反発しました。
25日に行われた国側の説明会には、南丹市長や久御山町長など府と府内の23市町村の担当者約40人が集まり、建設にかかる費用負担や、工事による環境の影響に関する調査の結果・環境対策に関する説明などが行われました。北陸新幹線の延伸工事をめぐっては、京都市内の地下区間などのルートで地下水への影響などが懸念されていて、説明会では地下水検討委員会の調査の結果を踏まえて「工事が行われても地下水の利用には影響はない」と説明していました。
国土交通省鉄道局幹線鉄道課・北村朝一課長は、説明会後の記者会見で「きょう(25日)の説明だけでは十分でないと感じる。各市町村ごとに個別の課題があるので、どのように対応していくかを府と相談したい」と話していました。