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【独自解説】「”劇団自身が調べられている“という意識を持つべき」宝塚歌劇 団、女性死亡で相次ぐ公演中止…「内部通報者がいる」弁護士が解説

2023年10月24日 16:00
【独自解説】「”劇団自身が調べられている“という意識を持つべき」宝塚歌劇 団、女性死亡で相次ぐ公演中止…「内部通報者がいる」弁護士が解説
「清く 正しく 美しく」 華やかな舞台の裏で何が…

 劇団員の女性の死亡をきっかけに、宝塚歌劇団の公演の中止が続いています。女性の死亡の経緯・理由を調べるため外部弁護士らによる調査チームを立ち上げたとのことですが、果たして劇団では今一体何が起こっているのでしょうか?元検事で弁護士の亀井正貴氏の解説です。

「いじめと疑われている事案だけを調査してもだめ」必要なのは『デジタルフォレンジック調査』

 9月30日、宝塚歌劇団の宙組に所属する劇団員の女性が自宅マンションの敷地内で遺体で発見されました。最上階に柵を乗り越えたような跡があることから、警察は“自殺の可能性が高い”とみて捜査しています。


 宝塚歌劇団は団員の死去を受けて公演中の「宙組」の演目の一部中止を発表しましたが、その後10月20日に、演目の千秋楽までの全日程の中止を発表。その理由として「生徒が安心して宝塚大劇場の舞台に立ちお客様にご観劇いただける環境が整うまでは、公演の再開は難しい状況と考えております」とコメント。加えて、11月10日から予定されていた「雪組」の演目に関しても、11月23日まで中止すると発表しました。

 宝塚歌劇団の渡辺裕企画室長は取材に応じ「『生徒間で何らかのトラブルがあったのではないか』という弊団としては“否定している事実”を報道されている。劇団としては、いじめという事案があるとは考えておりません」と、いじめの事実を否定しました。

「“いじめはなかった”という認識は、劇団としての調査・ヒアリングによる判断なので、第三者の立場で外部からきちんと調べてもらう」として、女性の死亡の経緯・理由を調べるため外部弁護士らによる調査チームを立ち上げたということです。

Q.いじめの認定は難しいと思いますが、どういうところから調べていくのでしょうか?
(亀井正貴弁護士)
「“指導”なのか、それを超えるような“いじめ”なのかを立証することが目的になりますので、そのことを知っている関係者から聴き取りをしていくことになります。本当は『デジタルフォレンジック調査』という手法で、SNSやスマートフォン、LINEなどのデータを出してもらって調査を行うなど、広く調べていく必要があります。また、いじめと疑われている事案だけを調査してもだめです。いじめは偶発的に起こるものではないので、時間を縦に遡って、かつ横に広く関係者も調べ、縦横に広く調査する必要があると思います。遺書などの物証が残っていればもちろん重要な証拠となります」

聞き取り調査だけでは「本当のことを言うことはない」全容解明までは時間が必要か

 また劇団は「一部報道で亡くなった下級生の前髪をつくるときに“ヘアアイロンを長く押し付けた”とあったが、両者と周囲にヒアリングをかさねた結果“誤って当たってしまった”ということはあった。報道されている書き方は非常に歪曲された表現だ」としています。

Q.こうした報道が出ているのは、何らかの情報があるからですよね?
(亀井弁護士)
「内部通報者がいると思われます」

Q.閉ざされた空間の中で上下関係があり、調査後もそこに通わなければならない人たちの間での聞き取りは有効なのでしょうか?
(亀井弁護士)
「こういう形で内部調査をして本当のことを言うことはない、というのが弁護士の普通の感覚だと思います。劇団としては”劇団自身が調べられている“という意識を持つべきだと思います。つまり劇団には『安全配慮義務』が必要です。宝塚歌劇団の伝統は大事かもしれませんが、その伝統が悪い要因だったのなら、安全に配慮する義務は劇団にあります。自分が調査の”主体“ではなく、”対象“だという意識が必要だと思います」

Q.また一から調査する必要があるということですか?
(亀井弁護士)
「第三者委員会の調査も同じですが、組織の中でこれからも生きていくわけですから、聞かれた本人が最初から本当のことを言うのはなかなか難しいと思います。なので、匿名性を確保して責任を追及されることがないようにしなければなりません。先ほど申し上げた『デジタルフォレンジック調査』だと、デジタルなので自分の口で話さなくても、データなどを提供するだけで物証になります。データを提供したら責任は問われないことにもなります。これは相当の時間をかけて調査すべきだと思います」

■主な悩み相談窓口

●いのちの電話
0120-783-556(フリーダイヤル)
毎日:午後4時~午後9時 
毎月10日:午前8時~翌日午前8時

0570-783-556(ナビダイヤル)
午前10時~午後10時

●LINEでの相談窓口
「こころのホットチャット」 ID:@Kokorohotchat
「BONDプロジェクト」 ID:@bondproject (10代20代女性専用)

(「情報ライブミヤネ屋」2023年10月23日放送)

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