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【独自解説】習主席は企業国有化のために恒大集団会長を拘束!? “EV墓地”とは? 中国経済の中心「不動産」「自動車産業」に異変

2023年10月19日 20:00
【独自解説】習主席は企業国有化のために恒大集団会長を拘束!? “EV墓地”とは? 中国経済の中心「不動産」「自動車産業」に異変
習近平主席 「一帯一路」構想の成果を強調

 この20年ほど中国経済の中心は、「1に不動産」「2に自動車」といわれ、習近平氏の掲げる「一帯一路」構想を支えてきています。しかしこれらの産業に今、大きな動きがあるといいます。中国情勢に詳しい、講談社「現代ビジネス」編集次長の近藤大介氏が解説します。

中国が抱える不動産バブル問題

 中国の不動産開発の仕組みですが、企業は巨額の借り入れで開発をしていきます。建物の完成前に売却することで資金を得て、その資金を投資してさらに開発をしていくという「自転車操業」です。また、購入者はマンションの建設が始まる前に頭金の支払いをして売買契約をし、建物が未完成でもローンの支払いが発生するといいます。2016年「新華社通信」は「全国の新都市計画人口は34億人、誰がそこに住むのか」と住宅の供給過多を報じました。
 2016年、習近平主席は「不動産の在庫整理」を緊縮政策のトップに挙げ、「家は住むためのもので、投機するためのものではない」としました。2017年には「不動産購入の厳格化」をして、2軒目購入のハードルを上げました。しかし、2023年になって「大都市での不動産購入」の緩和を行い上海や深圳などの大都市では、2軒目購入時の「頭金比率」や「ローン利率」を引き下げています。ただ、計画途中で頓挫する案件が次々に出て、未完成の建物に勝手に住む購入者もいるということです。

Q. 「不動産購入の厳格化」と言っても売らないといけないので、1軒買うともう1軒ついてくるとか、純金をプレゼントしますなどということが行われていると聞きますが?
(講談社「現代ビジネス」編集次長 近藤大介氏)
「中国の今の住宅在庫の面積は、東京23区の面積より広いといわれています。それくらい余っているんです。2023年は住宅工事に入った面積が2022年より23%も落ちていると発表がありました。2022年といえば“ゼロコロナ政策”で経済が動いていなかったのですが、それより不動産業界の景気は悪いということです」

 中国の不動産企業の恒大集団は、2020年の売り上げが約10兆1000億円と業界第2位で、プロサッカーチームや電気自動車など多角的に事業を展開していました。しかし、不動産事業の不振から経営が悪化し、2021年の負債総額は約33兆円にのぼりました。2023年9月アメリカの裁判所に連邦破産法15条の適応を申請。6月現在の負債総額は約48兆円となっています。

Q恒大集団会長の許家印氏に会ったことがあるそうですが、どんな人物ですか?
(近藤氏)
「パ^ティーに出席したときに、まるでプロレスの入場のような音楽が鳴って『買え買え買え』という掛け声で、たくさんの美女と一緒に彼が入場してきました。バブル時のディスコのようでした」

 しかし9月28日、恒大集団は「会長は犯罪に関与した疑いで“強制措置”を取られた」と発表しました。近藤氏は「習主席は『共同富裕』のため、多くの企業を国有化したいはず」といいます。

Q.当局に身柄を拘束されたということですか?
(近藤氏)
「恒大集団は8月にアメリカに破産申請を出していますが、この行為で、多くの中国の資産をアメリカに移して守ろうとしたと思われたのではないでしょうか。中国政府はこれを取り返したいので本人を拘束したと思われます」

Q. 恒大集団は潰せないですよね?
(近藤氏)
「20万人以上の従業員と300万人以上のユーザーがいますので、このまま潰すと大変な事になります。恒大集団は8つのグループに分かれていますので、それを切り離して広東省が中心の国有企業が再建していく方針のようです」

中国を支えるEV産業のイマ

 中国を支えるもう一つの産業がEV(電気自動車)産業です。習政権はEV車の普及を目指し、購入時の補助金や充電スタンドの拡充、取得税の軽減など様々な政策を行ってきました。そして、2023年上半期の世界のEV車の販売数で、中国のBYDがアメリカのテスラを抜いて1位になりました。

Q.EV車は動くスマホといわれているのですか?
(近藤氏)
「BYDの創業者にインタビューしたときに『日本の会社はEVをガソリン車の延長で考えているが、我々はスマホの延長で考えている。そこが全く違う』と言っていました」

Q.そんな中で“EVの墓場”という言葉を聞きましたが、作り過ぎですか?
(近藤氏)
「作り過ぎもありますし、コロナの3年間カーシェアに乗る人がいなかったので、その間にカーシェアリングの会社がどんどん潰れてしまって、そこで使っていたEV車がそのままほったらかしになってしまったというのが大きいです」

Q.一帯一路もあって国内だけでなく、世界に買ってもらわなければいけないということですね?
(近藤氏)
「国として奨励してEVを世界に輸出して車の輸出で日本を超えたわけですが、EUは中国のEV車に対してダンピングの疑惑を投げかけ、調査しようとしています」

 しかし、中国国内の新車販売数は5年連続減少していると言います。

Q.販売が減っていても、不動産がダメなのでEVに賭けるしかないのでしょうか?
(近藤氏)
「今は転換期で、中国では3割がEVやプラグインハイブリッドになっているので、世界をけん引していくと思います。販売数が減っているとはいえ、2000万台~2500万台で長期安定期に入ったと思います」

(「情報ライブミヤネ屋」2023年10月18日放送)

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