日銀植田総裁「為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」 円安注視の姿勢で市場を改めてけん制
歴史的な円安が続く中、植田総裁は8日の国会で「為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」との認識を示しました。
植田総裁は8日午前の衆議院財務金融委員会で「為替は経済物価に重要な影響を及ぼす要因の一つだと考えている」とした上で、「ここのところ、企業の賃金価格設定行動が、やや積極化するという動きが見えているので、過去の局面と比べて、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面、あるいはリスクがあるということは意識しておく必要がある」との認識を示しました。
為替の変動が、日銀が政策判断の基準とする物価に大きく影響するという考えを改めて強調した形です。
植田総裁は、その上で「為替の動向次第で金融政策上の対応が必要になる」「最近の円安の動きを十分に注視している」などと改めて市場をけん制しました。
植田総裁は先月末の会見で「いまの円安が基調的な物価上昇率に、いまのところ大きな影響を与えているわけではない」などと述べましたが、市場に「円安をけん制する姿勢を示さなかった」と受け止められ、円安を加速させる結果になりました。
この点について、植田総裁は「うまく市場等に伝わるよう、適切な情報発信、丁寧な情報発信に努めていきたい」と述べています。