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【解説】備蓄米放出後も…なぜ? コメの値段まだ高止まり

2025年3月28日 10:03
【解説】備蓄米放出後も…なぜ? コメの値段まだ高止まり

生産者は採算がとれない中、コメを作り続けているわけですが、備蓄米が放出されてもコメの値段が高止まりしているのは、なぜなのでしょうか? 経済部・農林水産省担当の新倉記者が解説します。

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農林水産省担当 新倉久美子記者
「背景には、コメの価格が下がりすぎないようにコメの生産を需要ギリギリにしてきた政策があります。コメは今のところ、自給率100%ですが、一方で日本は人口も減り、食も多様化してコメの需要は年々、約10万トンずつ減っています。このままだとコメが余ってしまうということで、生産を需要にあわせて抑えてきました」

「その結果、去年のようにインバウンドなどの影響で需要が増えると、すぐ不足してしまう状況に陥ってしまいます」

「ただコメの生産をすぐに増やせるのかといえば生産者と農地が年々減っていますし、さらに、増やせたとしても、国内の需要減少が続きコメが余って価格が下がれば、生産者は稼げないわけですから、生産を続けることができなくなるので、本末転倒ですよね」

鈴江奈々キャスター
「難しいバランスですが、政府はどう対応していこうと考えているのでしょうか?」

新倉記者
「農水省は、こうした課題の解決に向けて指針となる基本計画をきのうとりまとめました。強く打ち出されたのが『生産者が持続的に稼げる仕組み』をしっかり担保することです」

「その中でも注目したのが、コメの輸出を増やすという目標です。2030年までに去年実績の8倍近くまで拡大することをめざしています。もし国内の供給が不足した場合、この輸出分をまわすという狙いもあります」

鈴江キャスター
「消費者としては、この異常な値段の高止まりがおさまればと思うのですが、この点は解消されそうでしょうか?」

新倉記者
「備蓄米放出の効果が流通全体に波及するかどうか、まだまだ様子見の状態です。コメの流通が多様化している中で、農水省が把握する範囲が狭くなっているという指摘もあります。農水省はいま、小規模な業者や生産者に範囲を広げた流通の実態調査を行っています。この調査結果は来週、発表される見通しです」

最終更新日:2025年3月28日 10:03
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