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【独自解説】鈴木エイト氏「聞いていてかなり苦痛」解散命令請求受け“統一教会”が会見「全く話にならない」政府と徹底抗戦の構え 教団側の宗教法人法の“独自解釈”に専門家は苦言

2023年10月17日 10:10
【独自解説】鈴木エイト氏「聞いていてかなり苦痛」解散命令請求受け“統一教会”が会見「全く話にならない」政府と徹底抗戦の構え 教団側の宗教法人法の“独自解釈”に専門家は苦言
“統一教会”は「徹底抗戦の構え」

 政府の「解散命令請求」を受け、“統一教会”が10月16日に会見を行い、岡村信男法務局長と福本修也弁護士の二人が登壇しました。政府の決定を「痛恨の極み」と表現した教団、一体何を訴えたのでしょうか。ジャーナリスト・鈴木エイト氏、救済活動に尽力してきた阿部克臣弁護士の解説です。

 冒頭、“統一教会”の岡村法務局長は政府が「解散命令請求」をしたことに対して「とても残念で遺憾。政府や社会に対し、私たちの真実の姿をお伝えすることができなかった点において反省している」と述べ、「政府が宗教団体をつぶすことができる前例になる」と話しました。

 そして、教団側の弁護士・福本修也氏は、「宗教法人法81条1項1号において、『法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと』ということが、解散事由になる。文部科学省の『過料事件通知書』では、『“法令に違反”には、民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる』とだけしか言っておらず、何法の何条に違反したということが一切特定されていない。従って、解散命令請求はもちろん、質問権行使もできない」と述べました。さらに、「解散命令請求は宗教法人への死刑求刑だ」とし、「解散させるなら宗教法人が何法の何条に違反したのか明示するのが当たり前のこと。全く話にならない」と強い口調で語りました。

Q.会見を聞きながら相当首をひねっていましたが、どういう印象ですか?
(ジャーナリスト・鈴木エイト氏)
「聞いていて、かなり苦痛でした。前回の会見と内容もあまり変わらず、あまり得るものはなかったと思います」

Q.『法令違反は特定されていない』という話が出てきましたが、どうなのでしょうか?
(弁護士・阿部克臣氏)
「福本弁護士は、過料裁判をご存知ないのかなと思いました。というのは、そもそも過料裁判の通知書は法律上、提出することすら要件ではなく、裁判所が職権で行うものです。法律上、文化庁が請求・申し立てをすること自体が、そもそも必要のないことで、裁判所に情報提供したに過ぎません。何条違反などは裁判所が認定すればいい話であって、通知書に記載がないからといって、それで主張の根底が欠けるなどと、到底言えません」

Q.文科省や文化庁は証拠を固める意味で、あえてやったと解釈したらいいですか?
(阿部氏)
「はい。過料裁判では、そこまで通知書に書く必要がないです。今回の解散命令請求をするに当たって、13日の資料の中には、『民法の不法行為』とはっきりと書いてあります。民法の不法行為というのは、通常は民法709条から724条のことをいいますが、解散命令請求のほうにはきちんと書いてあります」

 また、宗教法人法81条1項2号について、解散事由の要件として、①宗教の教義をひろめること、②儀式行事を行うこと、③信者を教化育成することという、3つの目的を著しく逸脱する行為をしたことがあります。

Q.教団は、『これらを著しく逸脱していない』と言っているわけですよね?
(阿部氏)
「はい。教団の主張は、『家庭連合の支出項目中の二大使途は、『海外宣教援助費』と『教化費』であり、信者から得た献金は宗教団体の目的①と③のために使われているため目的逸脱じゃない』、ということだと思いますが、文化庁は13日の段階で、きちんと具体的な行為を挙げて、法人の目的は『金銭獲得目的だった』と詳しく書いています。ですから、文化庁は漠然とした抽象的なことを言って逸脱を認定しているわけでは全くないです」

Q.今回この2人が会見に出席したことについて、どう思われますか?
(鈴木氏)
「僕が事前に入手した情報では、先週ラスベガスで世界主導者会議というものが開かれて、日米韓の幹部が集まりました。その場で韓鶴子総裁が、日本の今の状況に激怒したと。9月ぐらいまでは日本の大陸会長が『解散命令請求は出ないだろう』と楽観的な報告をしていたといわれる中、『解散命令請求』が出たため韓鶴子総裁が激怒して、一説では、日本の幹部を引責辞任させ、記者会見を開いて、そこで謝罪をさせて幕引きを図ろうとしたのではないかということでした」

Q.会見では、実際に被害に遭われた方の救済や補償などの話は一切出てこず、対決姿勢一点張りでしたよね?
(阿部氏)
「岡村法務局長は、『被害者といわれる方たち』という言い方をして、決して『被害者』とは言いませんでした。さらに、元信者の人たちと交流したいとおっしゃっていて、決して謝罪や賠償をしたいとは言いませんでした。福本弁護士や岡村法務局長の会見での発言一つ一つから、加害者としての自覚が全くないということが今日の会見で裏付けられたかなと思います」

Q.エイトさんは、どう見ましたか?
(鈴木氏)
「今回の会見は、会見者の発表が直前でした。本来、こういう会見であれば田中富広会長なり責任ある立場の方が登壇するのが当然だと思うのですが、それをあえてギリギリまで発表しませんでした。その辺をあえて言わなかったのは、福本弁護士の一方的な主張を聞かせるのが目的だったのかなと思ってしまいます」

Q.一部報道では、大量の日本人信者を韓国に行かせたり、日本から資金を韓国や関連団体に移すのでは?との指摘も出ていました。
(鈴木氏)
「教団は最後まで否定していましたが、そういう動きがあるのではないかと思います。実際、現役信者が証言もされています。宗教法人法第1条で保全のことは述べられていて、『宗教法人として不動産や財産がなくなってしまうと宗教法人である理由がなくなり、解散命令になりますよ』というのが文化庁の解釈なのですが、あえて不動産を処分したり財産を海外へ送ったりすると自分で自分の首を絞めることになってしまうので、教団としてはそれができないはずなのですが…ただ、海外へお金を送る理由が、『海外宣教援助費』とされてしまうと、宗教活動だと当然教団側は言うので、こういう形で海外へお金を送られてしまう可能性はあるなというのは思いました」

Q.財産の保全は、今後どうなるのでしょうか?
(阿部氏)
「新しい法律が必要だと思います。国の今の考えでは、まず被害者が主体的にやるべきというようなことを文科大臣もおっしゃっていたと思うのですが、もはやそのぐらいの規模の話ではありません。文科省の解散命令請求の理由自体が、かなりの被害があると認めていますので、個別に被害者が一つひとつ裁判所の手続きを取って財産を抑えていくというレベルの話ではありませんので、国が音頭を取って、与野党がしっかり議論して早急に法律を一つ作って、速やかに抑えていただくことが必要になっていると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年10月16日放送)

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