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【独自解説】「『謝罪』という言葉は“被害者”が特定されて初めて使われる言葉」“統一教会” 田中会長が「解散命令請求」後初めて公の場に 会見内容について鈴木エイト氏ら指摘「欺瞞性がある」

2023年11月7日 19:33
【独自解説】「『謝罪』という言葉は“被害者”が特定されて初めて使われる言葉」“統一教会” 田中会長が「解散命令請求」後初めて公の場に 会見内容について鈴木エイト氏ら指摘「欺瞞性がある」
旧統一教会が会見

 11月7日、旧統一教会が「解散命令請求」後初めて公の場に姿を現し、会見を行いました。田中富広会長と勅使河原秀行改革推進本部長が語った内容とは?ジャーナリストの鈴木エイト氏と、長年旧統一教会の被害者救済活動にあたってきた阿部克臣弁護士が解説します。

「つらい思いをしてきた方にお詫びしたい」冒頭約12秒のお辞儀…しかし鈴木氏「何を言っているかわからない」

 会見冒頭、田中会長は、「いかなる状況でも宗教法人として1人の苦情もあってはならない。国と国民を巻き込んだことを反省し、今までつらい思いをしてきた方に率直におわびしないといけない。信者は私利私欲のために行動したのではなく、相手のためを思ったこと」とお詫びの言葉を述べ、頭を下げました。また、田中会長は、被害者へのお詫びが遅くなった理由について、「安倍元首相銃撃事件直後から返金要請等の苦情相談が660件までに膨れ上がった。わたしたち法人の犯罪ではなくても心を痛められる方がいたと、細かく・具体的に知り、いつかお詫びをする機会を持たなければいけないと思っていた」と語り、“謝罪”については、「『謝罪』という言葉はいわゆる“被害者”が特定されて初めて使われる言葉だと思う。しかし、つらい思いをしている人がいることも事実。そこに関してしっかりお詫びしたい」と話しました。

Q.これは謝罪会見なのでしょうか?
(ジャーナリスト 鈴木エイト氏)
「明確に『謝罪』 していませんよね。『謝罪』という言葉から距離を置くとも言っています。質疑応答の中で教団の実態が分かると思うのですが、あまりに回答が長くて何を言っているかわかりません」

Q.664件で約44億円の返金要請というのはとても大きい数字ですよね?
(阿部克臣弁護士)
「教団としては、この664件という数字を、『立派に対応しました』ということで使いたかったのでしょうが、この数字自体が、一個人のレベルで行われた不正ではないということを裏付けていると思います。この数字は、被害者を弁護士のところに行かせないように、信者とか家族と直接話をして和解をしてまとめた数字だと思われます。いくらの請求があっていくらで和解したという説明がないと、誠実に対応したといえないと思います。値切られたとか、連絡がないだとか、そういう声が(弁護団に)多く寄せられています」

Q.話し合いが進まないので、献金の一部の返金で諦めてしまった人も入っているということですか?
(阿部弁護士)
「そういう人が結構多くいて、納得いかないので弁護団に来るのです」

Q.指導不足から献金トラブルが起こったような言い方ですが、そうなると教団はお金に無関心だったというのでしょうか?
(鈴木氏)
「各教会を競い合わせていたり、伝道数や献金の数を目標達成の指標として評価したりということが2013年ぐらいにあったので、明らかに指揮系統下にあったのにも関わらず、まるで日本の本部の指導が足りなかったような言い方をしている点が、一番欺瞞性があったと思います」

 また、「全国統一教会被害対策弁護団」によると、現状で依頼を受けている被害者が130人以上、被害総額が40億円超で“潜在的被害”は推計1200億円と言われています。

Q.教団はこの数字は荒唐無稽だといって反発していますが?
(阿部弁護士)
「旧統一教会は、毎年約500億円の献金を集めています。過去の被害は数千億円だとかそれ以上あるわけです。現在『解散命令請求』が出されて裁判所の審議が始まって、この後『解散命令』が出されると思います。そして清算手続きに入ると、清算人という弁護士が裁判所から選任されて、教団の施設を売却したりするわけです。その段階で現在の信者でも動揺して教団から離れていく人が出てくると思います。その中でどれだけの人が献金の返金請求をするか分からないのですが、約3割の人が声を上げたとして1200億円という数字が推計されます。これは献金や物品被害だけですので、ここにカウントされない家族や2世の被害がたくさんあります。もし、それを金銭に評価すると1200億円には止まらないと思います」

 10月12日盛山文科学相は、「“統一教会”の行為は、民法の不法行為に該当し、その被害も甚大であることを踏まえると、宗教法人法の解散命令自由に該当すると認めました」として、その悪質性・継続性・組織性を認めました。

 今回の会見で教団側は、「これまで組織的に改革を行ってきた。結果として、2009年以降被害の訴えは激減していることから継続性はない。したがって悪質性はない」と主張しています。

Q.改革という言葉が出てきますが、改革をするのなら第三者を早く入れるべきでしたよね?
(鈴木氏)
「内部の改革が何も進んでいないのは明白ですよね。第三者委員会のようなものをちゃんと入れるべきです。コンプライアンス宣言以降の教団内部資料を持っていますが、裁判で負けないようにだとか、返金要請があった場合にどうすればいいかなどが書いてあります」

Q.2009年のコンプライアンス宣言以降、示談も減っていて、悪質性・継続性・組織性には当てはまらないと主張していますが?
(阿部弁護士)
「『2009年以降被害の訴えが大幅に激減している』というのが教団の主張のポイントなのですが、そこがそもそも事実ではないと思います。弁護団に来ている被害の中で2009年以降の被害も弁護士が受任しているだけで140件、約20億円あります。コンプライアンスを言っていますが、これも本当のコンプライアンスではなく、弁護士のところに行かせないようにする、裁判にならない等にするための対策だというのが教団の内部資料からわかっています。その結果として裁判数などが減っているのです。また、私の知るほとんどの信者もコンプライアンス宣言のことを初めて知ったのが2022年7月の安倍元首相銃撃事件以降と言っていますので、教団改革が進んだというのは事実と違うと思います。継続性はあると思いますし、悪質性や組織性も認められると思います」

(「情報ライブミヤネ屋」2023年11月7日放送)

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