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【速報】「介護に疲れていた」自殺考え90歳父親“道連れ”に殺害 61歳息子に執行猶予付き有罪判決 大阪地裁

2024年8月5日 10:20
【速報】「介護に疲れていた」自殺考え90歳父親“道連れ”に殺害 61歳息子に執行猶予付き有罪判決 大阪地裁

 90歳の父親を「介護疲れ」を理由に承諾を得て殺害した罪に問われた61歳の息子の裁判で、大阪地裁は5日、息子に対し懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

 判決によりますと、承諾殺人の罪に問われていた王森浩嗣被告(61)は今年5月、大阪市港区の自身が経営する理容院で、父親の一民さん(当時90)と心中しようと考え、承諾を得て首をロープで絞めて殺害しました。

 王森被告は逮捕後の警察の調べに対し「介護に疲れていた」と話し、これまでの裁判でも起訴内容を認めていました。

 5日の判決で大阪地裁は、「結果は取返しのつかない誠に重大なもので被害者を道連れにした側面があり、短絡的に犯行に及んだ意思決定に対しては強い法的な罰が受けられるべき」とする一方、「犯行後自ら119番通報し、反省もしている」として、執行猶予付きの判決を言い渡しました。

■病気で休業し自殺を決意「弟に介助の負担かけられない」

 裁判では、王森被告が事件の12年ほど前から父・一民さんと同居を始め、デイサービスを利用しながら生活の介助をしていた経緯などが明らかになりました。

 王森被告は、5年ほど前から手足にしびれを感じ、治療のために通院していたものの原因不明のまま悪化したことから、今年5月上旬に理容院を休業。その後、自殺を決意したものの、自身の弟に一民さんの介助などの負担をかけることはできないと考え、一民さんを殺害した上で自殺しようと考えたということです。

 自宅からロープや睡眠薬、日本酒を殺害現場となった理容院に持ち込んだ上で「マイナンバーカードの写真撮影」の名目で一民さんを連れ込むと、王森被告は「自殺しようと考えているが、一緒に死んでほしい」などと伝えます。これに一民さんはうなずいて同意し、睡眠薬や日本酒を摂取。その後、王森被告が一民さんの首にロープを巻きつけて犯行に及んだということです。

 翌日の未明、王森被告は自ら119番通報したことで事件が発覚。理容院からは王森被告が弟に宛てた遺書が発見されています。

 検察は「弟に相談することもなく犯行を決意したその経緯は短絡的であり、被害者の承諾があったとはいえ、いかなる事情があったとしてもその生命を奪うことは許されず、経緯や動機について酌量の余地はない」と指摘。「自ら救急隊員に申告した上で反省していることや、親族や知人が寛大な処罰を求めていることなどを考慮しても、厳しい処罰が必要だ」として、懲役3年を求刑していました。