【速報】住民が約60年守り続けた「桜通り」の桜並木の“伐採”始まる 老木化で倒木・交通事故の懸念 地域住民にも賛否 大阪市港区
約60年にわたって地域で親しまれてきた、大阪市港区磯路三丁目にある「桜通り」で街路樹として植えられていた桜について、28日午前、市による伐採作業が始まりました。木の老木化による倒木の危険性や交通事故への懸念などが理由ですが、住民からは賛否の声が上がっています。
■「殺風景だった街を明るくしたい」約300メートルの桜並木 市の景観資源にも登録
約300メートルにわたって植えられた「磯路三丁目桜通り」の桜並木は、1958年ごろ、「埋め立て地で殺風景だった街を少しでも明るくしたい」と、住民が自宅前の歩道に桜を植えたのが始まりといわれています。
当時、市は桜について「都市公害に弱く、病害虫もつきやすい」「交通の障害になる」などの理由から難色を示しましたが、「費用を町内会が負担し、その後の管理や手入れにも責任をもつ」という条件のもと、地元住民が有志で60万円の寄付を集め、1968年には約110本の桜の木が植えられ、長年にわたって地域の間で親しまれ、2011年には、大阪市の「都市景観資源」にも登録されました。
■台風で倒木、交通事故で賠償負担…管理を担った地域住民も高齢化
ところが、植樹から50年以上が経過する中、成長した桜の木の根が歩道のアスファルトを押し上げてしまったり、道路からはみ出た枝がトラックにあたり賠償金を支払ったりするなどの問題が発生したほか、2018年に関西地方を襲った台風21号により、計4本の桜が倒木し。近隣住民の安全を脅かす事態が発生しました。
また、住民たちによる管理を続けていくことの難しさも浮き彫りとなっています。害虫の駆除や落ち葉の掃除、伸びすぎた枝の手入れなどはすべて住民たちで行ってきましたが、住民の高齢化などで今後桜並木を維持することができるのか困難になってきているのです。
■住民も賛否分かれ…「もう勘弁してくれ」との声も
住民の中でも意見が割れ、「涙出そうになった」と伐採に反対する住民がいる一方で、「寂しいけど桜の手入れもものすごく大変」「それなりの手入れが必要で、また植える話が出ているけどみんなよう世話しないと思う」と伐採をやむなしと考える住民もいます。
今回の伐採について地域活動協議会の会長は、「ケガをされて『誰が責任取るの』と言われた時に『もう堪忍してくれ』という声も事実ある。『植えてくれ』という声ばかりを吸い上げるわけにはいかない」と話します。
市は、桜並木を近くの小学校に移植する予定の2本を残して、2月中旬ごろをめどに伐採作業を終える予定だということです。今後、小学校に移植する時期や、桜並木の通りをどのように整備していくかなどは地域住民らと協議を進めるとしています。