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音楽を機に“不登校”を克服 高校生バンドの青春を懸けた大会に密着 「この出会いに感謝している」

2023年10月2日 20:00
音楽を機に“不登校”を克服 高校生バンドの青春を懸けた大会に密着 「この出会いに感謝している」

「音楽に人は救えるか?」と聞かれると、答えは人それぞれだ。
しかし、音楽が励みとなっている人は多い。中京テレビが中高生1900人にアンケートを行うと、8割を超える人が音楽に救われていると回答した。
とある高校に、音楽を機に不登校を克服した少年がいた。
「この出会いに感謝している」と笑顔で語る少年と、彼と共に音楽に熱中する高校生バンドの“アツすぎる”夏に密着。
人生を変えるほどの音楽は、たしかに存在した。

“不登校克服”に繋がったバンド仲間との出会い

夏休み真っ盛りの7月、豊田北高校の軽音楽部の部室。4畳ほどの部屋に扇風機1台、ひときわ“アツい”練習を繰り広げる高校生バンドがいた。バンド名は「Mx.ちゃばしら」。ボーカル、キーボード、ギター、ドラム、ベースで構成される男女混合の5人組バンドだ。そのなかでベースを担当するのが、田中優さん。バンド活動を機に“不登校”を克服、音楽に人生を救われた一人だ。小学校の頃から不登校ぎみだったという優さん。当時について母親の美枝さんは「(小学生の頃は)夕方、一人で学校に登校して、担任の先生が勉強を見てくれました。そのおかげで勉強嫌いにはならなかった」と振り返る。そんな優さんが積極的に学校に通うようになったのは、現在の軽音部に入部してから。「部活があるから学校に行っている。軽音部の仲間との出会いに、感謝している」と美枝さんは嬉しさを滲ませた。

「夢は見るものではなく叶えるもの」受験支えた音楽

優さんが軽音部に入部したキッカケは、部活の見学会で「Mx.ちゃばしら」ボーカル・天羽絆弥(ばんび)さんに“一緒にやろう”と声をかけられたことから。優さん曰く、「(音楽に関する知識は)ドにシャープなんてあるの?というレベル」だったが、絆弥さんからのバンド勧誘に嬉しさを感じ、音楽を始めたという。優さんの不登校克服のキッカケをつくった、絆弥さん。彼女もまた、音楽と人生が密接している一人だ。絆弥さんがバンドを始めるキッカケとなったのが、日本を代表するロックグループ「ONE OK ROCK(ワンオクロック)」との出会い。軽音部のある高校を探し、豊田北高校を志望した絆弥さん。受験勉強が大変だったときも、「ONE OK ROCK(以下略称:ワンオク)」の音楽が支えてくれたという。「(ワンオクの曲で)“夢は見るものではなく、叶えるもの”という意味合いの歌詞がある。志望校に“入る!”という気持ちでやらないとダメだと思った」と自信を与えてくれた一節について語った。

大会挑戦に密着「このメンバーで演奏できて本当に良かった」

今回、そんな彼らが挑む、軽音楽部の県大会に密着させてもらった。大会当日、ギター・松井美咲さんは「変に緊張せず、純粋に楽しみたい。自分たちのベストを出せるように集中する」とポジティブな心境を語った。そして迎えた本番。演奏曲は、ONE OK ROCKの人気曲「完全感覚Dreamer」だ。激しいドラムに合わせ、キーボードとギターが疾走感のあるメロディーを生み出していく。伸びのある絆弥さんのボーカルには、自信と力強さがみなぎっていた。無事、演奏を終えた「Mx.ちゃばしら」。入賞こそ逃したが、ドラム・新田雄大さんは「心が燃えた。多くの魂を伝えられるよう全力を出し切った」と本番を振り返る。リハーサルで緊張からミスをしてしまっていたキーボード・ハンナさんは、「みんなの音を聴いたら、練習通りにミスもなく弾けた。間奏でギターと演奏するシーンが楽しかった」と仲間の大切さを実感。ギター・美咲さんは、「仲間と演奏することで絆が生まれた。このメンバーで出場できて本当に良かった!」と満面の笑みをみせた。「ここまで仕上げられて良かった」と安堵の表情を浮かべた絆弥さんは、「今までと違う、“完全感覚”がみえた」と達成感を滲ませた。お辞儀のあとに、ベースを頭にぶつけてしまうというお茶目なハプニングも経験した優さんは、「これからもテンションを上げる、ロックな曲をやっていきたい」と今後のバンド活動に心を躍らせた。

名古屋出身・人気バンドマンが証明した音楽の力

優さんと同じく10代で音楽に出会い、救われたというプロのミュージシャンがいる。名古屋出身のロックグループ「coldrain(コールドレイン)」のボーカル・Masatoさんだ。アメリカ人の母と日本人の父の間に生まれた境遇に悩み、違和感を感じていた10代。音楽と出会い、自作の英語歌詞を歌い始めたことが、バンド活動に繋がったそう。音楽を通じて生まれた縁は、プロになった今も続いている。「高校生の頃に出場したバンドの全国大会で、一緒に出場していた違うバンドの人達と今も会う。最近だと、SUPER BEAVERのメンバーだったりとか。みんな結果が出るまで、10年経っている。諦めずに、音楽を続けてきた」と自身の音楽との歩みを振り返る。音楽との出会いに救われたMasatoさん。「(学校に行かなくても)1つでもいいから、続けられる“好きなこと”を見つけられたらいい。ギターが続けられたら、すごいギタリストになるかもしれない」と自身の経験を基に、悩みを抱える若い世代へエールを贈った。

後日、「Mx.ちゃばしら」の優さんを訪ねてみると嬉しい知らせが届いていた。なんと、動画配信の全国大会でベース部門4位に入賞したのだ。続けてきた努力が初めて結果となった優さん。「ベースはこれからも頑張っていきたい」と笑顔をのぞかせた。

「音楽に人は救えるか?」その問いの答えは人それぞれだが、メロディーや歌詞、アーティストの生き様が、人生の活路を切り拓く“手助け”になることはある。見つけた道を自分の足で力一杯進むとき、背中を押してくれる言葉や出会いが“音楽”のなかにあるのかもしれない。

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