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【独自解説】新型コロナは「5類になっても“ただの風邪”ではない」脱水症状で命のリスクも…共通点多い『熱中症』との見分け方とは?死者数はインフルの20倍超、知っておきたいコロナの怖さと対策法

2024年8月11日 11:00
【独自解説】新型コロナは「5類になっても“ただの風邪”ではない」脱水症状で命のリスクも…共通点多い『熱中症』との見分け方とは?死者数はインフルの20倍超、知っておきたいコロナの怖さと対策法
感染症対策と“相性の悪い”季節到来

 新型コロナ感染者数が増加傾向にある中、懸念されるのが医療逼迫です。流行中のオミクロン株の変異株『KP.3』は、感染力が高いため要注意。ただ、暑い時期のマスク着用には『熱中症』のリスクも。初期症状が似ているコロナと熱中症の見分け方は?夏に適した感染予防は?『読売テレビ』古瀬朱理記者・横須賀ゆきの解説委員のダブル解説です。

■「5類になっても“ただの風邪”ではない」後遺症・死者数から見るコロナの怖さ

 まず、皆さんに知っておいていただきたいのが、『新型コロナは5類になっても“ただの風邪”ではない』ということです。

 私が取材させていただいた大阪大学・忽那賢志教授は、「年に何度も流行し重症者を多く出す感染症は、コロナ以外にない」と指摘しています。「ワクチンの未接種や、前回から時間が経っている人が感染した場合、重症化することもある」ということです。

 また、新型コロナの後遺症には、『味覚・嗅覚障害』『集中力の低下』『脱毛』などが挙げられます。オミクロン株は「コロナ流行初期と比べて重症化しにくい」といわれていましたが、オミクロン株流行時に感染して後遺症が残っている人の8.5%が、「半年後も生活に深刻な支障が出た」と報告しています。

 さらに、厚労省によると、インフルエンザの死者数が778人(2023年1月~11月)に対し、新型コロナの死者数は1万6043人(5類以降の2023年5月~11月)で、20倍を超えると報告されています。

■新たな変異株『KP.3』は「感染力が高い」 2024年も患者数は増加傾向

 2024年も、2023年同様の懸念があります。感染者数は、全国的に9週連続で増加。オミクロン株の新たな変異株とされる『KP.3』が流行していて、このウイルスの特徴は「感染力が高いこと」です。

 『大阪の新型コロナ患者数』についてのグラフを見ると、2024年7月8日~14日の1医療機関あたりの平均は9.65人と、感染拡大の入り口ともいわれるような数字となっています。グラフ上の青い線が2023年の患者数・赤い線が2024年の患者数なのですが、専門家は「2024年も2023年と同じように増加する傾向がある」と指摘。感染が広がっている今、感染者数の急増を防ぐことが重要だとされています。

■マスク着用がかえって熱中症のリスクに…症状が似ている新型コロナとの見分け方

 また、暑い夏は『熱中症』と『新型コロナ』の同時流行に要注意です。初期症状がとても似ているのが問題となっていて、共通として『発熱』『頭痛』『倦怠感』が挙げられます。ただ、新型コロナの場合は、『喉の痛み・咳・たん』『鼻水』『下痢』といった“熱中症にはみられない症状”に注目することが重要です。

 熱中症だったとしても重症化するリスクがあり、新型コロナに罹患している可能性も十分あるため、忽那教授は「水分補給や冷却をしても症状が良くならない場合は、医療機関へ相談を」と推奨しています。

 ただ、暑い時期には、感染症対策が非常に難しい状況になっています。マスクの着用が推奨されていますが、街の人からは「マスクをすると息苦しく、蒸れる。暑い中では厳しい」という声が多く聞かれました。

 暑い時期にマスクを着用していると、熱中症になるリスクもあります。忽那教授によると、「交通機関など密集する場所ではマスクを着用するなど、判断することが重要だ」ということです。

 また、熱中症対策として『適切なエアコンの利用』が推奨されていますが、エアコンをつけて密閉した空間にいると、新型コロナの感染リスクが高まります。忽那教授は、「30分に一度は換気をすることが大切だ」と話していました。

■3割負担でも約1万5000円…5類移行で懸念される金銭的問題とリスク

 街で話を聞くと、「コロナになっても、自己負担だから病院に行かない人が増えたのでは」という声も聞かれました。

 新型コロナの治療薬は1~3割が自己負担となっていて、『ゾコーバ』は3割負担でも約1万5000円です。『東京都医師会』は2024年7月16日、「コロナの治療薬で早めの症状改善が大切。治療薬の自己負担を軽減してほしい」と声を挙げていました。

 また、ワクチン接種についても、高齢者は一部自己負担で最大約7000円ですが、若い世代は全て自己負担となり、約1万5000円です。

 ただ、現在コロナ患者に一番多い年代は10代です。コロナなど感染症の特性で、若者から高齢者へ感染が広がっていきます。そのため、夏の帰省シーズンは特に注意が必要です。

 在宅医療で治療する医師などに話を聞くと、最も危険なのが『新型コロナ』にかかると水分・食事が取れなくなり脱水症状を起こすことで、命のリスクが高まるということです。特に高齢者はこまめに水分を取っていないと脱水症状を起こしやすく、熱中症になる恐れもあります。「お水は取っている?」と周囲にいる方が声をかけたり、遠く離れて暮らしていても一言電話するだけでも全然違うということなので、いかに周りが高齢者のケアをしていけるかというところもカギになってきます。

 また、忽那教授は「熱中症や手足口病などに加えてコロナが増えると、医療逼迫の可能性がある」と指摘します。何度も言いますが、新型コロナは5類になっても“ただの風邪”ではありません。大切な家族が感染し、重症化するリスクもあります。『手洗い』『マスク着用』『人が多い屋内などでの換気の徹底』といった、基本的な感染症対策の徹底が重要です。(『読売テレビ』古瀬朱理記者・横須賀ゆきの解説委員)

(「かんさい情報ネットten.」2024年7月18日放送)