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【速報】「遅くとも2月上旬以降に早急対応すべき緊急事態」小林製薬の「事実検証委員会」が調査報告 工場で「乾燥されないまま放置」「青カビ付着」も

2024年7月23日 12:21
【速報】「遅くとも2月上旬以降に早急対応すべき緊急事態」小林製薬の「事実検証委員会」が調査報告 工場で「乾燥されないまま放置」「青カビ付着」も

 小林製薬の紅麴を含むサプリメントの健康被害の問題で、独立した有識者によって構成される「事実検証委員会」は、「遅くとも2月上旬以降、全社を挙げて早急に対処すべき緊急事態だった」と結論づけた調査報告書をまとめ、23日に公表しました。

 報告書では、製造現場での人員不足が常態化し、原料ロットが乾燥されないまま放置されていたり、培養タンクの内側に青カビが付着したりしたことがあることが、従業員への聞き取りで明らかになりました。

■「原因分からず、広く可能性調べた」報告が2か月遅れ

 一連の問題をめぐっては、小林製薬は最初の健康被害の報告を1月15日に受けていたにもかかわらず、公表したのは3月22日で、発表までに2か月以上が経過していたことに、対応の遅れが指摘されていました。

 3月の会見では、小林製薬は「本来はもっと早く報告すべきだったが、何が原因か分からず、できるだけ広く可能性を調べた」と釈明していましたが、その後行われた株主総会では、経営陣の引責辞任を求めるなど株主から厳しい意見が相次ぎました。

 こうした指摘に対し、小林製薬は4月末、小林一雅会長や小林章浩社長ら3人の社内取締役を除く、4人の社外取締役のみで検証・調査を進めることを決定。また、独立性・客観性をもった3人の弁護士からなる「事実検証委員会」を設置し、法規制の遵守や公表の時期、当時の経営陣の意思決定に問題はなかったか検証を進めてきました。

■報告書「健康被害の拡大防止の意識欠如」「原因究明に注力し行政に報告せず」

 報告書では、「小林製薬が販売する健康食品について、医師から、重大な健康被害に関する具体的な症例の連絡を受けたことはなく、健康被害の拡大防止などの意識が欠けており、健康食品を摂取する消費者の安全を最優先に考えることができていなかった」とし、行政機関への報告についても、「『因果関係が明確な場合に限る』という解釈をとった上、本件症例の科学的な原因究明に注力し、行政への報告を速やかに行わなかった」と指摘しました。

 また、大阪工場の従業員が、委員会の聞き取りに対し、原料ロットが乾燥されないまま放置されていたり、培養タンクの内側に青カビが付着したりしたことがあると答えたということです。報告書では、「製造現場での人員不足が常態化し、現場任せの品質管理体制になっていた」と記載され、社外の取締役や監査役にも「報告が適時かつ十分に行われなかった」と指摘しています。

 その上で、委員会は「遅くとも2月上旬以降、全社を挙げて早急に対処すべき緊急事態だった。小林製薬及びその役職員が問題と向き合い、真の再発防止策の履践を全うすることを強く期待する」と結論付けました。

 報告書を受け、小林製薬は、小林章浩社長について「リーダーシップを発揮することができず、行政報告や公表の遅れを招いたことへの経営責任は重大」で、一雅会長についても「直接的に関与していたわけではないが、代表取締役会長としての職責は重い」として、一連の対応について経営責任を取る形で小林章浩社長と小林一雅会長が辞任し、後任の社長には8月8日付で山根聡専務(63)が就く人事を発表しました。