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【速報】“SNS型投資詐欺”摘発事件で主犯格ら40人を詐欺の疑いで再逮捕 これまでに92人を逮捕

2024年8月14日 14:00
【速報】“SNS型投資詐欺”摘発事件で主犯格ら40人を詐欺の疑いで再逮捕 これまでに92人を逮捕
山田吉彦容疑者(7月25日)

 大阪市内に拠点を置いていた2つのSNS型投資詐欺グループが一斉摘発された事件で、警察は14日、主犯格の男ら40人を詐欺などの疑いで再逮捕したと発表した。この事件をめぐってはリーダー格とみられる男ら3人が、いまだ逃走していて公開手配されている。

 詐欺や詐欺未遂の再逮捕されたのは、グループの主犯格の山田吉彦容疑者(43)ら40人。

 山田容疑者らは今年3月、10代の女性に対し、SNSで投資を勧めるメッセージを送り、投資の指導料名目や投資に関する情報商材の購入費名目で現金約52万円を振り込ませて、だまし取った疑いがもたれている。警察は40人の認否について明らかにしていない。

 大阪府警は7月23日、大阪市内にある2つの詐欺グループの拠点を一斉摘発し、これまでに計92人を詐欺や詐欺未遂の疑いで逮捕していた。元々は同じ組織で、一部のメンバーが独立して、2つになったという。52人については関与の度合いなどから処分保留で釈放し、任意で調べを続けている。

■「営業の仕事があるよ」面接も実施

 今回、釈放された20代の男性が読売テレビの取材に応じた。

 約1年前、友人から「営業の仕事があるよ」と言われたのがきっかけだった。面接もあり、「どれくらい稼ぎたいか」などと聞かれた上で採用された。この時は“合法”の仕事だと言われていたという。

 男性がグループの拠点となっている大阪市内のビルを訪れると、中には机とイスが並べられ、20人ほどのメンバーがいたという。机には大量のスマートフォンが並べられていた。

■「インスタ班」と「ライン班」に分かれ活動

 グループは「キング」や「クイーン」、「ジャック」などトランプのカードにちなんだチームに分かれていて、この部屋はSNSで被害者と接触する、いわゆる「打ち子」の拠点だった。

 男性によると、チームの中では、SNSのインスタグラムで不特定多数にメッセージを送り、投資に興味を持つ人を探す「インスタ班」と、興味を持った人にSNSのLINEを使って、ウソの投資をさせていく「ライン班」の2つに分かれていた。

 男性は「インスタ班」に配属され、30台近くのスマホが渡された。平日の正午から午後9時までが定時の「仕事」が始まった。

■投資歴が約10年 20代女性講師になりすまし…

 男性はインスタグラムで架空の女性のアカウントを作成。20代で投資歴が約10年、これまでに2000人以上に投資を教えた実績があり、うち8割が1か月で100万円の利益を達成しているという設定だった。アカウントにはきらびやかな生活を送る女性の画像や動画を、他のアカウントから無断で引用した。

 「同じ名前のアカウントは90個持っていて、1日で450人ほどに送っていた。18歳以上なら誰にでも送っていた」

 メッセージについては、リーダーと呼ばれる人から、最初にテンプレートがもらえ、それを自分流にアレンジしていった。リーダーからは「共感できるような内容をストーリーにあげる」「月曜日の仕事の時間にストーリーをあげる」「文章が多すぎたら見てもらえない」などと指導を受けたという。

■報酬は完全歩合制 月100万円~200万円稼ぐメンバーも

 返事をしてきた相手に対しては、「初めましてよろしくお願いします」「お名前なんて呼べばいいですか?」などと送った上で、「私は投資の講師をやっています」と投資を勧誘し、LINEに誘導。その後はライン班がウソの投資の情報商材を売るという流れだった。

 報酬は完全歩合制。自身がメッセージを送った被害者からだまし取った金が「売り上げ」とされ、約20%から25%が取り分として現金で手渡しされた。男性は月に15万円ほどだったというが、中には100万円から200万円ほど稼ぐ「強者」もいて、部屋のホワイトボードには各メンバーの売り上げが書かれていたという。

 「真面目な子も多く、センスのあるメンバーはめちゃくちゃ稼ぐので、結果が出なくて悔しいから頑張るというモチベーションでみんな競い合っていた。人員の入れ替わりも激しかった」

■突然の逮捕「普通の会社で働いていたと思っていた」

 「警察だ」

 グループに入ってから約1年が経った、7月23日午後2時ごろ、大阪市内のビルの一室に、大阪府警の捜査員数十人が突入した。

 男性は、その場で事情聴取され、スマートフォンやノートなどを押収されたという。そして翌朝7時ごろ、捜査員に「逮捕状が出ている」と言われ、詐欺未遂の疑いで逮捕された。

 警察は31日までにメンバー92人を逮捕。しかし関与の度合いなどから、男性を含む52人を釈放し、任意で捜査を続けている。

 記者が男性に「詐欺との認識はあったのか」と尋ねると、男性は「合法と説明を受けていた。完全歩合制だが働いている人もあからさまにヤバそうな人はおらず、普通の会社で働いていたと思っていた」と答えた。

 そのうえで男性はつぶやいた。

 「本当に犯罪か分かりづらいから、少しでも怪しいと思ったら関わらないほうが良い。自分と同じような人が出てきてほしくない」

■警察は逃走中の主犯格の男らの行方を追う

 警察は、公開手配して未だに逃走している、リーダー格とみられる中村晋弥容疑者(41)、実行役統括とみられる上家夕貴容疑者(30)、金庫番とみられる吉岡公充祥容疑者(29)の3人の行方を追っている。

 SNS型投資詐欺は近年急増していて、警察庁によりますと、2024年1月から6月の全国の被害件数は3570件(前年同期比2969件増)、被害総額は約506億円(同437億円増)となっている。中には著名人をかたる犯行もあり、政府が対策を進めている。

 情報提供は大阪府警察本部刑事部特殊詐欺捜査課まで。
(電話番号:06‐6943‐1234)
(大阪府警のホームページ:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/jiken/wanted/18663.html)