新シングル「いとしき日々よ」をリリースしたばかりの歌手・平井堅（３９）が１２日、東京・タワーレコード渋谷店で１０年ぶりとなるインストアイベントを行った。

　１万通の応募の中から選ばれたファン７０人を招待。新アルバム「ＪＡＰＡＮＥＳＥ　ＳＩＮＧＥＲ」（６月８日発売）の試聴会を行ったほか、収録曲の「いとしき日々よ」「あなたと」を初披露した。
　
　アルバムの制作中に、東日本大震災が発生した。「そんなことしていていいのかと悩んだけど、毎日無我夢中でスタジオに通っていました。きょう皆さんに聞いてもらえて感無量です」としみじみ。「特別な思いで作った曲ばかりなので、一緒に愛して、歌ってほしい」とメッセージを送った。
　
　多くのアーティストが被災地へのお見舞いコメントを発表する中、震災後の平井は沈黙を貫いていた。その理由を「何て言っていいのか分からなくて、逃げたのかもしれない。ただただ呆然としていました」と告白。「『頑張ろう』とか、『心はひとつ』とか言うほど僕は強くなくて、勇気がなかった」と語り、言葉の代わりに、祈るような思いを詰め込んだ楽曲「あなたと」を制作。アルバムの最後の曲として収めたという。「精いっぱいの気持ちであり、自分自身の心の中をえぐって作った。この歌で僕の気持ちを感じ取ってもらえたら」と静かな口調で話した。