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“協力の象徴”「南北連結道路」を北朝鮮が爆破 悪化の一途…南北対立の今後は? 

2024年10月16日 0:47
“協力の象徴”「南北連結道路」を北朝鮮が爆破 悪化の一途…南北対立の今後は? 

北朝鮮は15日、軍事境界線の近くにある韓国とつながる道路を爆破しました。両国の緊張がさらに高まっていますが、北朝鮮の狙いは、どこにあるのでしょうか?

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15日、韓国と北朝鮮の「軍事境界線付近」をとらえた映像には、高く上がる煙が映っていました。さらに別の場所でも…

韓国軍によると15日正午ごろ、北朝鮮が韓国とつながる「南北連結道路」の一部を爆破。北朝鮮側には軍服を着た人々が複数いて、爆破の様子を撮影しているように見えます。

この「南北連結道路」は、日本が統治していた時代に造られたもので、韓国と北朝鮮の関係が良好な時代に再び往来できるよう整備が進められてきた「南北協力の象徴」ともいえる存在です。

軍事境界線の北側にあり、爆破された1つは北朝鮮の西側を走る京義(キョンウィ)線。もう1つは東側の東海(トンヘ)線です。

これらの道路では、去年から北朝鮮側が地雷の設置や街灯などの撤去を進める様子が確認され、9日に北朝鮮は「この道路を完全に遮断し、要塞(ようさい)化する工事を始める」と発表。

また、韓国のKBSは15日夜、政府高官の話として「きょうの爆破に金正恩総書記が立ち会っていたことがわかった」と伝えました。爆破前に黒い車両が確認され、金総書記が降りて準備状況などを視察したということです。

一方、韓国軍は、爆破に対抗して射撃を実施しました。

金正恩総書記(今年1月)
「大韓民国を徹頭徹尾、第一の敵対国、不変の主敵としてみなす」

厳しい姿勢で臨む韓国の尹錫悦政権に対し、今年に入り韓国を「第一の敵国」と明記するよう、憲法の変更を指示した金総書記。南北関係は悪化の一途をたどり…

韓国の脱北者団体が「体制批判」のビラを北朝鮮へ飛ばすと、その対抗措置だとして、北朝鮮はいわゆる“ゴミ風船”を大量に韓国へ。

さらに先週、北朝鮮は韓国が平壌に無人機を侵入させ、政権を批判するビラを飛ばしたと主張していました。韓国側はこれについて「事実の有無を確認できない」としていますが…

金総書記の妹・金与正氏は14日の談話で「我々は無人機事件の主犯が韓国軍部のくずであることを明白に知っている。ヤンキー(アメリカ)が手なずけた犬(韓国)によって主権が侵害されたのなら、主人が責任を負うべきだ」と、非難の矛先をアメリカにも向けました。

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緊張が高まる中で起きた、南北連結道路の爆破。このタイミングについて専門家は…

北朝鮮政治に詳しい慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授
「すでに予告されたことを実行に移した、ある意味象徴的な政治イベント。つまり韓国に対しては、あなたたちは敵であると明確に示すとともに、北朝鮮の国民に対しても、韓国は敵だから敵国の文化に触れてはならないと強いメッセージにもなる」

これをきっかけに、南北の対立は激化するのでしょうか?

慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授
「一見して、すごいことをしているように見えるが、あくまで自分たちの北朝鮮の領土の中で、そもそも使っていなかった道路を爆破した。韓国とは断絶状態が続くでしょう。そもそも南北の対立は、数年深まったままなので、今後、今回のことをきっかけに急に何かが高まるというものではない」

(10月15日放送『news zero』より)