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北朝鮮「南北連結道路」爆破 韓国との“協力の象徴”破壊…狙いは?

2024年10月15日 20:56
北朝鮮「南北連結道路」爆破 韓国との“協力の象徴”破壊…狙いは?

北朝鮮が15日、軍事境界線付近の韓国とつながる道路の爆破に踏み切りました。一体なぜ今、その狙いとは─。

爆破の瞬間を捉えた映像には、地面にいくつものオレンジ色の炎と空高く立ち上った砂煙が映っていました。何らかの爆薬が爆発したのでしょうか?

爆破は同じ時間帯に別の道路でも発生しました。爆発の瞬間、地面から噴き出したのは、黒・白・茶色と色の違う煙です。そのまま一気に立ち上りました。

北朝鮮内の2つの道路で起きた爆破。いずれも、韓国と北朝鮮をつなぐ「南北連結道路」と呼ばれる道路です。1つは、北朝鮮の西側を走る京義(キョンウィ)線。この道路で起きた爆破の映像に映っていた道路標識には、「開城(ケソン)市まで10メートル」と書かれていました。開城市とは、京義線上にある街です。この付近で、爆破は起きたとみられます。

もう1つの爆破が起きたのは、北朝鮮の東側、海岸沿いを走る東海(トンヘ)線です。去年10月に取材した際には、途中から街灯がなくなっていました。

「南北連結道路」はもともと、日本統治時代に作られた鉄道と道路で、北朝鮮と韓国の関係が良好な時代に、再び往来できるよう整備が進められてきた「南北協力の象徴」とも言える存在です。しかし、ここでは北朝鮮側が去年から、地雷の設置や、線路の撤去を進める様子が確認されていました。

金正恩総書記(最高人民会議、1月)
「大韓民国を徹頭徹尾、第一の敵対国、不変の主敵としてみなす」

北朝鮮に厳しい姿勢で臨む韓国の尹錫悦政権に対し、金正恩総書記は今年1月の演説で韓国を「第一の敵対国」と指摘。その後、南北関係は悪化の一途をたどってきたのです。

5月末からは、韓国の脱北者団体が体制批判のビラを北朝鮮へ飛ばしたことへの対抗措置だとして、北朝鮮はいわゆる「ゴミ風船」を韓国へ大量に飛ばし始めました。ゴミ風船を飛ばされた韓国側は、大音量のスピーカーを使って、北朝鮮に体制批判を流す「宣伝放送」を再開。すると今度は、北朝鮮側も騒音で対抗しました。

先週からはさらに緊迫の度合いが高まっています。北朝鮮は先週、韓国が3回にわたって無人機を平壌に飛ばし、批判のビラを散布したとの「重大声明」を発表しました。金総書記の妹・金与正氏は12日、「我々の首都上空で、韓国の無人機が再び発見された瞬間、さんたんたる惨事が必ず起きるだろう」との談話を発表。

韓国国防省がこれに対し、「国民に危害を加えれば、北朝鮮の政権が終えんを迎える」と応じると、金与正氏は連日の談話で怒りをぶちまけました。

金与正氏(13日の談話)
「身の程知らずにも『政権の終えん』をうんぬんし、不作法で自滅的な選択を公表した」

金与正氏(14日の談話)
「我々は無人機事件の主犯が、韓国軍部のくずであることを明白に知っている。ヤンキー(アメリカ)が手なずけた犬(韓国)によって、主権が侵害されたのなら主人が責任を負うべきだ」

非難の矛先をアメリカにも向けました。緊張が高まるなか起きた、南北連結道路の爆破。南北の対立は激化するのでしょうか。

横田明NNNソウル支局長
「韓国軍は爆破を“見せつけのショー”と表現していて北朝鮮の挑発には乗らない姿勢です。このため、今回の爆破を受けて、武力などで対抗措置をとる可能性は低いです。南北の緊張した関係がしばらく続くことは間違いありませんが、ここから応酬が続くという状況になるかは不透明です」

北朝鮮の矢継ぎ早の動きに、朝鮮半島が揺れ動いています。