ビットコイン 連日最高値で10万ドルに迫る トランプ氏の勝利で規制緩和期待 暗号資産に厳しいSEC委員長の退任も追い風に…
アメリカを「ビットコイン超大国」にすることを掲げるトランプ氏の大統領選勝利を受け、暗号資産「ビットコイン」が、連日、最高値を更新。日本時間22日には、史上初めて一時9万9000ドルを突破し、10万ドルの大台に迫っている。暗号資産に厳しいSEC=米証券取引委員会のゲンスラー委員長が、トランプ氏の大統領就任日である2025年1月20日に退任することが決まり、規制緩和が進むとの期待が相場を押し上げている。(ニューヨーク支局・橋本雅之)
暗号資産取引所大手「コインベース」によると、ビットコインの価格は、日本時間22日、史上初めて一時9万9000ドルを突破した。アメリカ大統領選前の10月23日、ビットコインは、およそ6万5000ドルで取引されていたが、トランプ氏の勝利を受けて急騰。1か月で3万4000ドル上昇した形だ。
ビットコインをめぐっては、2024年1月にSEC=アメリカ証券取引委員会がビットコインを運用対象とするETF=上場投資信託の上場申請を初めて承認。これにより、これまでビットコインを直接保有することが難しかった機関投資家らも投資が可能となり、価格が大幅に上昇していた。
さらに、大統領選挙で「アメリカをビットコイン超大国にする」「アメリカ政府としてビットコインを戦略的に備蓄する」と述べていたトランプ氏が勝利したことを受け、その価格は一段と押し上げられている。
■暗号資産に厳しいSECゲンスラー委員長の退任が決定
SEC=アメリカ証券取引委員会は21日、ゲンスラー委員長が2025年1月20日に退任すると発表した。2026年6月までの任期を待たずに自ら退任を決めた形だ。ゲンスラー氏は声明で、「我が国の資本市場を世界最高の状態に保てたことは生涯の名誉だ」と振り返った。
ゲンスラー氏は、暗号資産業界への厳しい取り締まりで知られていて、トランプ氏は、自身が大統領に返り咲けば、ゲンスラー氏を「就任初日に解任する」と述べていた。トランプ氏の大統領就任日にゲンスラー氏が退任することが決まり、市場では規制緩和が進むとの期待が広がっている。
■専門家「今後は調整局面も…」と警告
暗号資産に詳しい投資会社ギャラクシー・デジタルのマイケル・ノボグラッツCEOは、アメリカCNBCのインタビューで、ビットコインの10万ドル到達は「必然だ」と指摘。その上で、さらに価格上昇が続く可能性があるとしつつも、「いずれは調整局面が訪れるだろう」と警告した。
ただ、ノボグラッツ氏は、大統領選でトランプ氏が勝利する前の水準である1ビットコイン=8万ドルを下回ることはないと予想しているという。