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新藤監督「どうか石を投げないでください」

2011年9月10日 18:37
新藤監督「どうか石を投げないでください」

 上映中の映画「一枚のハガキ」の興行収入1億円突破が確実になったことを受け、新藤兼人監督(99)が10日、東京・銀座テアトルシネマで大ヒット記念舞台あいさつを行った。

 観客の熱気に「ちょっと興奮しています」と茶目っ気たっぷりにあいさつした監督は、8月6日の公開から9万人の観客が劇場に足を運び、興行収入が間もなく1億円を突破することを司会者に聞かされると「貧乏な小さな(自分の)プロダクションですから、今の入場者数を聞いて震え上がっています」と感謝。
 3日前に、アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品に選ばれたことを喜び「これからうまくいけばいいんですが、多分、うまくいくと思います」と自信をチラリ。「何か調子に乗っちゃった感じがあって、うまくいくんじゃないでしょうか」ととぼけた感じで意欲を語り、会場の笑いを誘った。

 さらに新藤監督のトークはさえ渡り、これまでの映画製作の苦労をユーモアを交えポツリポツリと吐露。
 「私は今まで、たびたび絶望してきました。金がない。金がないくらいひどい絶望はありませんね」と振り返り、「私は金がないからといって、泣かないことにします。石のつぶてが飛んで来て、額にぶつかっても絶対に泣かない。私に石をぶつけてみてください。泣きません。この映画館の入り口に石を数個備えて、『(監督が)出てきたぞ、投げてみよう』とパチパチと当たっても、私は泣きませんよ」と宣言。司会者に時間が押し迫っていることを告げられると「時間切れです。どうか、石を投げないでください」とあべこべなお願いをし、観客に平和な笑いを届けた。