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三國連太郎主演、唯一の未公開作品公開

2014年5月3日 15:00
三國連太郎主演、唯一の未公開作品公開

 女優の長山藍子(72)、俳優の誠直也(65)が3日、都内で映画「朽ちた手押し車」の初日舞台あいさつを行った。

 日本海の漁村を舞台に、認知症の老父、余命いくばくもない老母を抱えた家族の苦悩を描いた1984年制作の作品。主演は故三國連太郎さん。三國さんの300本近い映画出演作の中で、唯一の未公開作が、30年の時を経てついに公開へこぎつけた。

 長山は同作が公開されることになったきっかけの「お蔵出し映画祭2013」を振り返り、「(会場に訪れた)お年寄りの方も、ご夫婦連れの方も、若い方も、みなさん吸い込まれるように映画を見てくださった」とかみ締めるるように語った。
 グランプリ受賞に関しては、「最初、何も賞に呼ばれなかったのでドキドキしてたんですけど、最後に『観客賞』と呼ばれてうれしかった」とにっこり。「それで終わりかなと思ったら『グランプリ』で呼んでいただいて、ボロボロ泣いてしまった。先輩たちがどんなにお喜びになられてるだろうと思ったら、本当にうれしかった」と喜びを伝えた。

 誠は撮影当時の島宏監督について、「とにかく穏やかな人でした。印象に残ってるのは、とにかくじっと待つ。なかなか上手く段取りがいかなかったことも多々あったんですが、穏やかにゆっくり待つ方でした。それが印象に残っています」と回想した。

 終盤、長山は客席を見渡し、「きょう、何よりもうれしいのが、主人も来てますが、主人の父と母も来てくれて…」と涙ぐみ、「今、たくさん足を運んでいただいて、みなさんで見ていただくと、大変だけど、温かい気持ちになる」と作品をアピールした。