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大人もハマるポケモンカードゲーム 初心者が大会挑戦でブームの理由を探ってみた

2023年6月16日 22:50
大人もハマるポケモンカードゲーム 初心者が大会挑戦でブームの理由を探ってみた
ポケカ日本大会出場を通じ魅力をレポート
ポケモンカードゲーム、通称“ポケカ”の日本チャンピオンを決める大会が6月10日、千葉県の幕張メッセで行われました。

カードゲーム、ビデオゲーム、ポケモンGOなどのチャンピオンを決める公式の大会で、上位の選手は8月に日本で初めて開催されるポケモンゲームの世界大会『ポケモンワールドチャンピオンシップス2023』に出場することができます。

幅広い年齢層が参加し、ブームとなっているポケカの魅力を取材するため、日本テレビの記者が大会に参加しました。

■60枚のカードを自由に選んだ「デッキ」で戦う

ポケモンカードゲームとは『ポケットモンスター』シリーズの世界をテーマにした、二人用対戦型トレーディングカードゲーム。『ポケモン』『エネルギー』『トレーナーズ』など60枚のカードを自由に組み合わせた『デッキ』を使って対戦します。

互いのターンごとに1枚ずつカードを引き、相手のポケモンへの攻撃、相手の手札をシャッフルし妨害するなど、手持ちのカードから「どんな行動をするか」を考えます。

各プレーヤーの陣地には、「サイド」と呼ばれる6枚のカードが置かれていて、相手のポケモンを倒すと、「サイド」のカードを手札に加えることができ、バトルを有利に戦えます。攻防を通して相手の場のポケモンを全て “きぜつ”させ0にするか、「サイド」の6枚のカードを全てとりきるなどした側が勝利となります。

最も参加人数の多いポケカ部門はジュニア(主に小学生)、シニア(中学生・高校生)、マスター(大人)の3つのリーグに別れています。取材のため抽選の参加枠に日本テレビの記者が応募したところ、まさかの当選。早速『デッキ』を組むところから始めました。

■まずは「デッキ」の準備から プロおすすめのデッキとは?

同僚に手伝ってもらい、お互いの手持ちのカードで勝負をしてみましたが、ポケカ初心者のため、なかなか大会で戦えるレベルのデッキを組むことができません。そこで、必要なカードをそろえるために東京・秋葉原にあるポケモンカード専門店に向かいました。

記者:大会に初めて出場するので、勝てるデッキをカスタマイズしてくれませんか。

店員:わかりました。

快く答えてくれたのは、ポケカの大会に出場経験がある店員の吉川啓太さん。

吉川:私は“やるべきことがハッキリしているデッキ”をおすすめします。自分の得意な型を貫けるかどうかが勝敗に大きく関わるため、反省もしやすくおすすめです。

吉川さんが提案したくれたのが、得意な展開に持っていくことさえできれば、ワザを使いやすく、シンプルな立ち回りで攻めやすいといわれている『ルギア』のデッキです。

■店舗の『ジムバトル』で武者修行 初心者が勝つチャンスも

デッキをそろえてからは、終業後に練習を重ねていきました。休日にはポケモンカードゲームが公式に認めた店舗で定期的に開催されている大会『ジムバトル』にも参加。

『ジムバトル』では、記者が“初心者であること”を伝えても他のプレーヤーが優しく対応してくれるため、緊張しつつも大会の作法を覚えていくことができました。挑戦した3戦の結果は1勝2敗。初心者でも1勝することができました。

練習を重ねカードの知識が増えることで、デッキの構築力や数手先の推理力などが身につき、着実に成長していることを実感できました。また運も大きく戦況に影響するため、ポケカのプレイ歴に差があっても十分に勝つチャンスがあることを知り、大会でも1勝することを目標に本番に臨みました。

■全国からポケカプレーヤー3200人が集結

迎えた本番当日。世界大会の予選ということで会場には多くのポケモンファンが集まっていました。ポケモンカード部門には約3200人が出場するため、朝のエントリー受付には長い行列ができていました。

予選のルールは「最大10試合行い、2敗以内の選手が本戦に出場できる」。つまり3敗すると予選敗退となるため、3戦以内に1勝することが目標です。開始時間になるとテーブルに移動し、対戦選手と初めて対面します。

■初戦の相手は「同じタイプ」 勝敗の分かれ目は…?

1回戦の対戦選手は、群馬県から来たというポケカ歴2年の大学生。ゲームが進んでいくと、なんと記者と同じデッキタイプだと判明しました。同じカードが核になっているため、「何がしたいのか」がお互いにわかった状態で試合が進んでいきます。

「先攻有利」と言われるポケカ。しかし先攻・後攻を決めるじゃんけんで記者は負けてしまいました。相手選手がそのアドバンテージをいかして、強力な効果を持つ 『ルギア』の『VSTARパワー』を発動し順調に盤面を組み立てていきます。記者も1ターン遅れで同じように『VSTARパワー』を発動、必死に追いかける展開が続きました。

しかし、こちらの『VSTARパワー』を発動するために必要だったポケモンを“きぜつ”させられてしまい、結果は敗北。

試合後、対戦選手に感想を聞いてみると・・・

対戦選手:同じタイプと初戦で当たると思わなかったです。プレイングに支障も無いし、(準備)1週間にしてはめちゃくちゃうまいなと。

記者:ポケカを始めて1週間でも勝つ可能性ってありますか?

選手:前回のシティリーグ横浜大会では、ポケモンカード歴3日の方が配信卓でプレイという情報も目にしたので可能性はあるのかなと…

“先輩”プレーヤーから励ましの言葉をもらい、続く2回戦、3回戦に挑戦しましたが、結局1勝もすることはできず、3戦全敗という結果となりました。

ポケモンカードの種類は、公式サイトから確認できるだけでも1万以上。そのため戦略のバリエーションも膨大です。短い準備期間では、カードやプレイに対しての知識量が圧倒的に足りていなかったと痛感。やはり初心者が簡単に勝てるほど日本大会は甘くはありませんでした。

■ハマる理由は様々 “ポケカの魅力”

友人にポケカを勧めたという、ポケカ歴約1年の大学生は「強いデッキで戦うのも楽しいんですけど、自分の好きなポケモンとか弱いポケモンでも、自分で考えて構築すれば勝てる」とポケカの魅力を語りました。

子どもと一緒に遊ぶうちにハマっていったという、ポケカ歴1年のお父さんは「将棋やチェスみたいな“詰めていく感じ”と、頭を使うところが頭のさび付いていたところを使えていいなと。かなり脳トレになる。ポケカは勉強です」と笑顔で話していました。

■体験取材でわかった魅力 “ゲームを通じたコミュニケーション”

大会に参加して感じたのは、対戦選手をはじめとした参加者の心の温かさでした。1回戦で対戦した大学生は同じデッキだったこともあり、対戦後、具体的な戦略のアドバイスを教えてくれました。どの試合でも、このような“初心者を育てよう、見守ろう”という気配りを他のプレーヤーからもらうことが多かったです。

もう一つ印象に残ったのは、バトル終了後にゲームを振り返る「感想戦」をする人が多いこと。その理由についてあるプレーヤーは、「初対面で何も無い状態からコミュニケーションを取るのは難しいかも知れないが、イベントで同じテーブルに座っているなら“ポケモンカード”という共通の話題があるので、自然と盛り上がれる」と教えてくれました。

また、練習で参加した『ジムバトル』の会場には“何度も戦っていくうちに対戦相手と知り合いになり、そのまま友達になった”という人も多くいました。ポケモンカードの活動を通じ、リアルかつ自然な出会いが生まれていることが、人気の理由の一つかもしれません。