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宮野真守 夢を追いかける子供たちへ送るアドバイス 「好きを諦めないで」【伊藤遼の声優 一答遼談】

2023年5月16日 23:05
宮野真守 夢を追いかける子供たちへ送るアドバイス 「好きを諦めないで」【伊藤遼の声優 一答遼談】
アニメやマンガが大好きな伊藤遼アナウンサーが宮野真守さんを深掘り
アニメ『DEATH NOTE』の夜神月や、『炎炎ノ消防隊』の新門紅丸、『ゾンビランドサガ』の巽幸太郎など、数多くの人気キャラクターの声で知られる声優の宮野真守さん。声優の枠を超え、バラエティーやドラマなどテレビに出演。さらに、アーティスト活動とマルチに活躍しています。そんな宮野さん、7歳から子役としても活動していましたが、進路に悩んだ時期もあったそうです。様々な経験をした宮野さんが、夢に向かう子供たちに送る言葉とは…。“アニメ・声優オタク”の私、伊藤遼がお話を聞いてきました。

7歳から『劇団ひまわり』に所属し、子役として活躍していた宮野さん。声優の道に進むきっかけは何だったのでしょうか。


――声優の道に進むきっかけは?

高校3年生ぐらいの時に遅いんですけど、悩み始めるんですよね。周りが進学だ、就職だと言っているときに、自分は何も今仕事ができていないとか、未来のことが全然決まっていないって思ったときに「このままでいいのかな」「えっ? 今から進学? 勉強してないけど?」みたいな(笑)。

結構リアルにもんもんと悩んでいた時に、声優のオーディションを頂きました。当時のマネジャーに「声の仕事なんだけど興味ある?」って言われて。テレビっ子だったからアニメも好きだし、吹き替えとかも見ていて。でも、自分がそこ(声優)をやるなんて考えが及ばなかったというか。当時は”アニメの中の人“の存在をそんなにわかっていなかったから、「そっか、そこにチャレンジできるんだ」って思って、オーディションを受けました。それがきっかけでした。

■忘れられない先輩からの助言 スーパーカーに乗せてくれた

声優の演技を習っていなかったため、技術的なことが難しかったと話す宮野さん。克服するために先輩の演技を直接見て、一つ一つ現場で学んだといいます。


――参考になった先輩の演技や印象に残っている指導は?

子安武人さんのお芝居のアプローチってすごく多様で、思いつかない表現をするんです。(例えば)ウィスパーでしゃべるってよくあるんですよ。小さい声でしゃべるっていう指示。そういう時ってみんな小さい声でしゃべるだけなんですけど、子安さんは息だけで本当にしゃべったんですよ。(声の)音の使い方をこんなに多様にするんだなっていうのを学びました。

三木眞一郎さんからは(一緒に)ガンダムをやっている時に「ガンダムに乗っている感覚ってわかるか?」と聞かれて、「わからないです」って答えました。(これに三木さんは)「誰もガンダムに乗ったことないわけじゃん、実際。そういう時はなるべく日常の何かから置き換えることが大事になってくるよ」みたいな感じで、スーパーカーに乗せてくれました。「このGを感じて」って。教え方がかっこ良すぎる(笑)。

林原めぐみさんはポケモンで一緒になった時に、僕は結構テンションの高い役だったんですけど、ポケモンはずっと見てきた作品で、大先輩ばかりの中で尻込みしちゃうんですよ。それをいち早く見抜くのが林原さんでした。「あれ、なに? もっとやっちゃいなよ」って一番に言ってくれました。そこで急に肩の荷がストンって下りて、「そうだよな。今ここでチャレンジしなかったから全然意味がないな」って思って、そうやって先輩が後ろから「やっちゃいなよ」って背中を押してくれるのであれば、やるしかないと思って。すごいテンションでやったら、それが結構面白い役になっていって。そういう感じで、現場で覚えました。

宮野さんが主人公の声を務め、オープニング曲も担当したオリジナルアニメ『THE MARGINAL SERVICE』。伝説上の生き物・境界人の犯罪を専門で取り締まる組織が地球を守るために奮闘する姿が描かれています。


――台本を初めて見たときは率直にどう思いましたか?

ざっくり言ってしまうとアクション作品ではあって、そのアクションの仕方が人知れずなんだっていうところが“面白そう”って思いました。いわゆる、戦う対象になるものがいて、それは世の中で誰も知らない存在、未確認生物みたいな感じで存在しているものを、誰にも気付かれずに打倒するみたいな。実はそんなことが行われたけど、みんなは日常生活を普通に送っている。でも、そういうサービスをしている人たちがいるんだよっていうお話。だから、工事現場に見せかけて実は戦っていたみたいな。“なんて面白いんだろう”って思って最初、それで取り組んでいきましたね。


――OP曲の『Quiet explosion』も宮野さんが担当されましたが、どんな思いが込められていますか?

誰しもが自分の目的とか目標をビッグマウスで“俺、やるぜ”って言える人ばかりじゃない。でも、一人一人生きていく中で、目標があって野心があって野望があって希望があって、ということを心の中で熱く燃えたぎらせているわけじゃないですか。だから、そこの思いに寄り添える歌でありたいなと思ったんです。作品を飛び越えて聴いたときにも、応援歌になるような、“よし、やろう”って思えるような。例えば、満員電車に揺られながら、“俺やるぜ!今日も社長!”みたいな。誰しも、日常で戦っているそこの気持ちに寄り添えたら面白いなって。戦いに行ってください、この曲で。

■“好きを諦めないで” 夢を追いかける子供たちに宮野真守からメッセージ

――声優を目指す人たちへアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけますか?

“好きを諦めないでほしいな”と思います。好きと思ったことに蓋をしない方がいいと思う。それがうまくいくかいかないかは、わからない。どうなるかは。自分もこういう未来を当時描けてはいなかったけど、でもこの好きっていう思いだけはちゃんとしっかりと大事に育てたかもしれない。声優をやらせていただいて、色々な方に見てもらって、色々な経験をもらって蓄えた中で、自分が好きって思っていた歌がつながったりとか、その時に頑張ってダンスをやっていたことがつながったり。今見えているのはうまくいっていないっていう皮をかぶっているかもしれないけど、それはあんまり関係ない。中身が大事かもしれない。


――自分の好きに自信を持つことが大事なんですね?

うん、それが一番いいと思う。本当にダメだったら止めてくれるから。“ちょっとお前やりすぎだぞ!”って(笑)。

【お話を聞いて一答遼談!(編集後記)】
数多くの話題作で主演してきた宮野さん。どの仕事も常に楽しそうに笑顔を絶やさずされているのが印象的でした。それは宮野さんが“好き”という気持ちを常に大切にしているからなのだと、今回のインタビューで強く感じました。

“好きを諦めないでほしい”という宮野さんの言葉は、将来がたとえ不安でも、自分の好きを信じればやりたい道にいつか必ずつながるのだというメッセージだと受け取りました。私も自分が進むべき道を見失いかけたときは、自分の“好き”を見つめ直そうと思います。きっとアニメに行きつくと思いますが…。

【宮野真守プロフィル】
1983年6月8日生まれ。埼玉県出身。7歳から『劇団ひまわり』に所属し、子役として活動。2001年に海外ドラマ『私ケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。その後は数々のアニメ作品で主演を務める。映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズでは主人公のニュート・スキャマンダーの吹き替えを担当し話題となった。さらに、バラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』のコーナーレギュラーや、連続テレビ小説への出演など、声優の枠を超えた活躍を見せている。2008年には歌手としてもデビューを果たし、エンターテインメント性の高いパフォーマンスでファンを魅了している。


企画・取材:日本テレビ 伊藤遼